一般的にスポーツの世界では「競争」がよいものとして捉えられてきました。
ライバルの存在がとても重要とされ、実際の競技においても常に他社と比較されて育った人も多いのではないでしょうか。
学校教育では「競争はよくない」と言われながらも、なにかと意識しがちです。
テストを返せば「○○よりも良かった悪かった」、50m走をすれば「○○よりも速かった遅かった」と子どもたちはいいます。
保護者の立場としてもついつい聞いてしまうのは「○○ちゃんはどうだった?」ではないでしょうか。
今回は「競争」は実際どうなのかについて、競争の考え方について解説したいと思います。
1 柔道金メダリスト野村忠宏さんの言葉
「常に心の中にあるライバルというのは存在していない」
これはオリンピックで柔道史上初、3連覇を達成した野村忠宏さんの言葉です。
あれだけの現役を続けてきたにも関わらず「ライバルがいない」ということを語っています。
ライバルなしでどうやってこの偉業を達成したのでしょうか。
この言葉が競争についての一つの答えを導き出してくれます。
2 非競争的報酬
心理学に「非競争的報酬」という言葉があります。
有名なものとしてエイムズの実験というのがあり、この実験では被験者である男の子に2人1組になって課題を解いてもらいます。
そして課題を解き終えるたびに2人の成績が読みあげられます。
Aチームの男の子たちには「成績がよかった方が勝ち、勝った方がご褒美をもらえる」と伝えます。
Bチームの男の子たちには「勝ち負けはなし。2人には研究に協力してくれたご褒美をあげる」と伝えます。
結果、「自分の成績はどうだったか?」と振り返ってもらったところ、どういう結果がでたでしょうか。
Aチームは成績を自分の能力や運と結びつけた子が多かったのに対し、Bチームは成績を自分の努力と結びつけた子が多かったのです。
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3 競争をすることの意味
一般的には競争した方が、競い合うことでよい結果が出やすいと思われています。
しかし、競争という無意識に比較が起きる環境で育つと、出た結果を自分の努力よりも、備わっている能力や運と結びつけやすいというのです。
競争は「勝敗の結果が出た後」が問題です。
人は結果が出ると、なぜその結果が出たのかを分析します。
そして競争に勝った場合には「自分はできる人間だから」「自分は強運の持ち主だから」と結論付けやすく、競争に負けた場合は「自分はできない人間だから」「自分は運がないから」と結論付けやすいのです。
つまり、競争の中で勝ったとき、人は「自分は能力がある」「自分は運が強い」というふうに解釈し「自分が努力したから」というふうには考えないというのです。
この実験からわかることは
人は他者との競争で自信が得られると思いがちですが、実際には過信を生みやすいということがわかるのです。
一方、過去の自分と比較して成長することに目を向けることができれば、意欲が沸きやすくなるのです。
つまり、本物の意欲を湧きださせるためには、他者との比較ではなく、自分との比較に目を向けることが大切なのです。
自分に自信がなかなかもてずに苦しむ人は、まずは他者との比較や競争をやめることが大事です。
4 まとめ
今回は競争することの意味について考えてみました。
ライバルの存在が強くしてくれるとよく聞きますが、競争するべき相手はライバルなのでしょうか、それとも自分なのでしょうか。
柔道でオリンピック3連覇をした野村忠宏さんは
「常に心の中にあるライバルというのは存在していない」
という言葉を残しています。
この中にある本当の意味とはどのようなものなのでしょうか。
心理学に「非競争的報酬」という言葉があります。
有名なものとしてエイムズの実験というのがあり、この実験では被験者である男の子に2人1組になって課題を解いてもらいます。
Aチームの男の子たちには「成績がよかった方が勝ち、勝った方がご褒美をもらえる」と伝えます。
Bチームの男の子たちには「勝ち負けはなし。2人には研究に協力してくれたご褒美をあげる」と伝えます。
結果、Aチームは成績を自分の能力や運と結びつけた子が多かったのに対し、Bチームは成績を自分の努力と結びつけた子が多かったのです。
つまり、競争の中で勝ったとき、人は「自分は能力がある」「自分は運が強い」というふうに解釈し「自分が努力したから」というふうには考えないというのです。
この実験からわかることは
人は他者との競争で自信が得られると思いがちですが、実際には過信を生みやすいということがわかるのです。
一方、過去の自分と比較して成長することに目を向けることができれば、意欲が沸きやすくなるのです。
つまり、本物の意欲を湧きださせるためには、他者との比較ではなく、自分との比較に目を向けることが大切なのです。
自分に自信がなかなかもてずに苦しむ人は、まずは他者との比較や競争をやめることが大事です。
これはライバルが良くないという話ではありません。
ライバルが存在していることで、目標になることだってあります。
でもライバルだけに気をとられて自分の本質の成長に目がいかないのであれば、まずは昨日の自分と競争をして成長を誓う方が良いのです。
自分と競争をして、学校の勉強や運動、習い事のスポーツでも、よい成長をしてもらえればと思います。
これは子どもだけの話ではなく大人でも言えることです。
自分に自信をもつために最初の競争相手は自分にしましょう。
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