【運動がうまい子になる】巧緻性を高めると学校体育の何に役立つのかを学習指導要領から解説!

体育

体育の授業を見てみると、どうしても得意不得意が出てしまいます。
やっぱり運動神経って遺伝なんだろうなぁと思う方もいると思いますが、運動神経に親の遺伝や先天的なものはないことはこのブログでも何度もお伝えしています。
かけっこは苦手だけどなわとびは得意とか、跳び箱は苦手だけど球技は得意とか、そういう場合は完全に遺伝ではありません。
「いやいや、全部苦手だから絶対に遺伝でしょ」
という方もいるかもしれませんが、それも残念ながら?!遺伝ではなく経験数です。

 

でも、何をやらせても運動が上手にできる子はいます。
上手にできるということは、その子が練習や努力を重ねてきて上達したからこそなのですが、誰もがうっとりするような「うまさ」をもっています。
その「うまさ」は、やみくもに練習したり努力したりすれば身に付くのでしょうか?
今回は「うまさ」のひみつについて解説したいと思います。
最後まで読んでいただくと、巧緻性(うまさ)の高め方を理解し、今よりも上手に運動をこなすことができるかもしれません。


1 「うまさ」ってなに?

運動する動作を見ていて「うまい!」と思うときってどんなときですか?
目の前で懸垂を連続100回してもらって「うまい!」とは言いませんよね。
どちらかというと「すごい!」という声が出てきます。
腹筋を100回やっても同じです。
では、どんなときに「うまい」と感じるのでしょうか?
・バスケットボールでノールックパスを出して味方のシュートのアシストをしたとき?
・野球でヒット性の当たりなのにダイビングキャッチをしてアウトにしたとき?
・サッカーで3人のディフェンダーをドリブルで抜き去ったとき?
こんなときには「すごい」とも感じますが「うまい」とも思います。
懸垂を目の前で100回やったときの「すごい」とは違う感覚です。
私たちが「うまい」と思う動作というのは、筋力や持久力による運動ではなく、鍛えた筋力を自在に器用に使いこなして繰り広げる「巧みな動作」のことを言うのです。
つまり巧緻性が高いということになります。
学校体育で「うまい」とみんなから言われる子というのは、筋力や持久力がすごいのではなく、巧緻性が高い子となります。
ではそのような「巧さ」について、詳しく解説していきたいと思います。

2 巧緻性を支える6つの要素

① 状況把握能力
視覚、聴覚、皮膚感覚、運動感覚などの感覚能力や状況の予測能力

② ポジショニング能力
四肢(手足)を適切なポジションに持ってくる能力

③ グレーディング能力
力やスピードなどを出すときに、その運動に対して出す力を適切な強さに調節する能力

④ タイミング能力
状況に合わせ、適切なときにカラダを動かす能力

⑤ 素早さ
瞬発的に素早く動いたり、動きを切り替えたりする能力

⑥ 持続性
正確な動きや素早い動きを続ける能力

これらが巧緻性を支える6つの要素となります。
巧緻性の高いプレーというのは「動きが早い」とか「力が強い」というような単独の能力だけで生まれているのではなく、これら6つの要素をいくつも組み合わされて発揮されています。
だから「うまいなぁ」と言われるようなプレイヤーはこれら6つの要素を身に付けて使いこなしている選手ということになります。
巧緻性を支える要素は、もちろん親の遺伝でも先天的なものでもありません。
子どもの頃から繰り返し練習したり努力したりしながら培ったもので、脳の回路を作って身に付けていくものなのです。

3 学校体育と6つの要素

では、この6つの要素というのは学校体育では必要なのでしょうか?必要ではないのでしょうか?
もちろん必要です。
学習指導要領を使って一つ一つの運動領域で考えてみましょう。

A 体つくり運動
私が考えるところ、この体つくり運動ではかなり巧緻性を必要とします。
学習指導要領の中に「巧みな動きを高めるための運動」という文言が入っているくらいだからです。
馬跳びをしたり、ゴムひもを使ったり、タイミングやバランスよく動いたり、用具をコントロールしたりとさまざまな場面で使います。
そしてこれらを繰り返すことで、他の運動領域に活用できるようになるのです。

B 器械運動
器械運動では、跳び箱やマットで踏み切りのときのタイミング能力やグレーディング能力、着手するときの状況把握能力などの様々な場面で使います。
鉄棒でもバーを握る力などの状況把握能力や回転するときの力加減のグレーディング能力など実は必要としている場面がたくさんあります。

C 陸上運動
短距離走ではスタート時に特に必要とするでしょう。
それ以上にリレーではバトンパスで必要とするし、ハードルではハードリングで必要としています。
走り幅跳びや走り高跳びでも状況把握能力、グレーディング能力、タイミング能力などを必要とします。

D 水泳運動
スタートのときには、やはり必要としますし、ターンのときにも必要となります。
クロールや平泳ぎ、バタフライなどの動きそのものがポジショニング能力を必要としています。

E ボール運動
ゴール型、ネット型、ベースボール型とそれぞれで6つの要素が必要となります。
敵のいない場所や得点をしやすい場所などの空間に移動しなければいけないので状況把握能力が必要となります。
ボールをアタックするなどのタイミング能力も必要だし、力の引き出し方などのグレーディング能力も必要となります。

F 表現運動
自分の頭の中にあるイメージを体を使って表現するので、やはり多くの要素を必要とします。
手や足の指先まで使うし、ポジショニング能力で手足を上手に使わなければいけません。

数え上げればきりがないくらいたくさんの技能で巧緻性が必要とされています。
このように学校体育と巧緻性というのは切っても切れない関係あるということなのです。
巧緻性はプロのスポーツ選手が必要なのではなく、運動をするすべての人に、もっと言えばなんにでも必要な力なのです。

4 まとめ

今回は運動をするときの「うまさ」について考えました。
「うまさ」とは、つまり「巧緻性」です。
「うまい」と言われる動作は、筋力や持久力による運動ではなく、鍛えた筋力を自在に器用に使いこなして繰り広げる「巧みな動作」のことを言うのです。
つまり「うまい」というのは、巧緻性が高いということになります。
巧緻性も遺伝や先天的なものではありません。
子どもの頃から繰り返し練習したり努力したりしながら培ったもので、脳の回路を作って身に付けていくものなのです。
巧緻性を支える6つの要素があります。

① 状況把握能力
② ポジショニング能力
③ グレーディング能力
④ タイミング能力
⑤ 素早さ
⑥ 持続性

となります。
これら単体で力を発揮して巧緻性を支えているわけではなく、それぞれが複合的に絡み合って「うまさ」を引き出しています。
学校体育場面でも、いろいろなところで巧緻性は必要となっています。
技能を身に付けるために巧緻性も磨いてみてはどうでしょうか。
「子どもの頃に身に付けた巧緻性が大人になるといったいどこで役に立つのか?」
と思う方もいると思います。
車の運転とか、料理とか、子どもの時に身に付けたものは運動でなくても多くの場面で役立ちます。
でも大人が一番使うのは、子どもとかくれんぼをやっているときに見つけているのに、見つけていないふりをして「いないなぁ」と言うときです。
「状況把握能力」「タイミング能力」「持続性」の3つを上手に絡み合わせながらあの絶妙な見つけていないふりを作り上げています。
それも子どものときから培った巧緻性が成しえる技です。
子どもを喜ばせるために子どものうちから巧緻性を身につけておくことをおすすめします。


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