「眼がいいね!」
と聞くと、視力が良くて遠くまで見えるというイメージがあります。
スポーツにおいて眼がいいと言われると遠くまで見えることだけなのでしょうか?
今回はスポーツにおける「眼がいい」について考えていきたいと思います。
後半には眼を良くするためのトレーニングも紹介させていただきます。
1 スポーツにおける眼がいいとは
人間の情報のほとんどが目から得ていると言っても過言ではないくらい、視覚というのは必要な感覚の一つです。
野球選手で「体力」「技術」「反応」が良いのに打つことができないとしたら、考えられるのは眼の問題の可能性があります。
打てない選手がどのようにボールを見ているかによって、打てるか打てないかが変わってくるからです。
「ボールをよく見て打て!」
とアドバイスをしても
「ボールはよく見ています!」
となっていれば、どれだけ練習しても効果が上がりません。
その選手が例え視力2.0の持ち主で遠くまでを見渡せたとしても「見る」という観点が違えばせっかくの「体力」「技術」「反応」が活きてこないのです。
スポーツにおける眼がいいというのは視力だけに言えることではなく
「眼球運動」
「動体視力」
「瞬間視」
「周辺視野」
などのことも言えるのです。
これらが上手に使えてこそ「眼がいい」スポーツ選手になれるのです。
また、これはスポーツだけに言えることではありません。
「俺はスポーツ選手になろうとしていないから関係ないな」
という子も中にはいると思います。
ですが、体育という学校教育の場面でも必要ですし、実は車の運転などの日常生活でも必要なことなのです。
2 それぞれの眼の力
眼球運動とは、細かく考えてしまうと眼の周辺の筋肉のことなどが上げられますが、眼を動かす力のことです。
だからこのあとに取り上げる「動体視力」「瞬間視」「周辺視野」などに大きく関わってきます。
○ 動体視力
今では動体視力という言葉は子どもでも知っているポピュラーな言葉です。
でもちゃんと意味を理解しながら使っているかは別ですので解説します。
動体視力という言葉の中には「視力」がついていますが、視力の善し悪しとは全く関係ありません。
視力が良い人でも、見えない人は見えないのです。
どういうものかというとダイナミックに眼が動くかということです。
具体的には眼が速く動くかどうかと、幅広く動くかどうかということなのです。
例えば新幹線に乗っていて、ある駅を通過するとします。
通過するときに駅名の表示を識別できるかどうかというのが動体視力の力です。
例え視力が良い人でも、通過するときに見えない可能性があります。
つまり、動体視力というのは、どれくらい細かいところまで識別できるかという「視力」ではなく、動くものに対する「追跡力」なのです。
○ 周辺視野
注視する範囲を中心視野と言い、中心視野の外で視界に入る範囲を周辺視野と言います。
例えば車の運転をしていて、前を見ていますが一点だけに集中せずに、広い範囲をぼやぁ~っと視野に入れていませんか?
こういったときに周辺視野を使っています。
サッカーやバスケットボールでも、相手を見つつも、その相手の一点だけを注視せずに、全体を捉え、さらに相手の後ろにいる状況を捉えています。
この周辺視野が優れていると、多くの情報を集めることができるのです。
○ 瞬間視
瞬間視は、パッと見る力のことです。
「あれ?動体視力と同じ?」
と思いませんか?
でも違うのです。
よく動体視力と瞬間視を混在させてしまっている人がいますが違いがあるのです。
スポーツではプレー中に視線をどこかに止めて、じっと見るということはまずありません。
記憶にも新しい東京オリンピックのことを思い出してみましょう。
どのスポーツでも、じ~っと一定時間を見つめているスポーツはありませんでした。
卓球やバドミントンは素早いスピードで玉やシャトルが返ってくるので見つめることは皆無です。
格闘技でも相手の顔だけをずっと見つめているということはありません。
中にはクローズドスキルで、バスケットボールのフリースローなどの場合はそういうこともありました。
でもほとんどの場合が視線と止めるということはありません。
その一瞬のうちに状況を把握する力が瞬間視なのです。
サッカーやバスケットボールで、パッとグラウンドやコートを見た時に、ボールと敵、味方の複雑な位置関係を一瞬で把握し、状況判断できるのが瞬間視が優れていることになります。
実際のトレーニングについては明日に続きます。
お楽しみに。
5 まとめ
今回は「眼の良さ」について解説しました。
スポーツや運動における眼の良さというのは、単に視力の良さだけではありません。
「眼球運動」「動体視力」「周辺視野」「瞬間視」などの良さがあげられます。
眼球運動は眼をいかに素早く動かすことができるかの力です。
動体視力は動体視力というのは、どれくらい細かいところまで識別できるかという「視力」ではなく、動くものに対する「追跡力」です。
注視する範囲を中心視野と言い、中心視野の外で視界に入る範囲を周辺視野と言います。
瞬間視は、パッと見る力のことです。
これらの力はトレーニングで鍛えることができます。
トレーニングの実際については明日、具体的にご紹介させていただきます。
トレーニングが最もうまくいったのは他でもない「目玉のおやじ」です。
目玉のおやじが視力、動体視力、周辺視野、瞬間視のすべてにおいて、1番であってほしいと誰もが願っているところです。
目玉と名前についているのに老眼で近くのものには焦点が合わなかったら、それは「目玉のおやじ」ではなくもはや「おやじの目玉」です。
コメント