本格低ななわとびシーズンに到来しました。
「なわとびにシーズンなんてあるの?」
と思う方もいると思いますが、冬です。
小学校では冬になると、なわとびに取り組みます。
子どもの頃からなわとびを考えもせずに跳べた先生は、どうして跳べないのかなんて考えたこともないと思います。
ですが、なわとびをはじめとする、運動が苦手な子は存在しています。
「できるよ!」
では、きっと運動嫌いになるだけです。
今回はどうしてなわとびが跳びにくいのかを解説し、どうしたらいいのかを考えていきたいと思います。
跳べない理由を理解し、子どもたちに適切な声かけをしてあげてほしいと思います。
1 ジャンプと手の関係
多くのスポーツは、ジャンプをするときに、跳ぶ方向と同じ方向に手を動かします。
たとえば、バスケットボールのシュートやバレーボールのブロックなどです。
上に跳ぶ時に手を上に振り上げませんか?
水たまりを越えるときも同じです。
跳ぶ方向へと腕を振り上げて跳び越えます。
どうしてかというと、その方が跳びやすいからです。
新体力テストの立ち幅跳びもどうでしょうか。
「1、2の3」
で前に跳び出すときに、後ろから前に腕を振り出しませんか?
前に跳ぶ時に後ろに振り出したのでは、前にたくさん跳ぶことはかなり難しいことなのです。
では、なわとびはどうでしょうか?
上へ跳ぶとき手を下しませんか?
つまり、やりやすい方向とは逆に動かすのがなわとびなのです。
ここの上達のポイントがあります。
そもそもなわとびを跳ぶことが苦手な子は、この動きに気づいていません。
「やりにくいなぁ」
とだけ思っているのかもしれません。
まずは、このやりにくさに体を慣れさせなければいけないのです。
② 今度は体の前でなわとびをクロスさせながら歩きます。
※ 歩くリズムとなわとびを動かすリズムがだんだん合ってくるように回しましょう。
③ 最後は両手になわとびをもち、前に歩きながら回して、またいで進みます。
これを繰り返しながら前に進んでいきましょう。
少しずつスピードを上げ、最後はジョギングで進みます。
ここまでくればジャンプとなわとびを回す感覚が身についているはずです。
2 前回しは特殊な動き
右手に鉛筆をもって、先で円を描くように回すと、ほとんどの人が右に回す方がやりやすいと感じます。
その手を体の横にもってきて同じように回すと、後ろ回しになります。
これを左手でもやってみると、鉛筆を縦にもった時は左回し、横に持ったときは後ろ回しがやりやすりと感じるでしょう。
つまり棒状の柄やロープを横にもったときは、後ろに回した方がやりやすいのです。
ではなわとびはどうでしょうか?
みんなが最初に覚える「前回し」はこれと反対に回していませんか?
やりにくい方に回すからうまく回せないというのが上達しにくい理由の一つでもあるのです。
それにはロープを使った練習法がおすすめです。
なわとびよりも重さがあるので、回す感覚が得やすくなります。
なわとびの1mくらいのところでロープをもって、カウボーイのように頭上でブンブン回してみましょう。
右だけでなく左にも回します。
両方回すことで苦手な回し方が練習できます。
手首は固めず、ロープが回る方向に一緒に回すことがポイントです。
「カウボーイのように」というと、子どもの中には最終的に投げてしまう子もいるかもしれませんが、危険なので最初に「投げない」ということを伝えておきましょう。
なわとびではなくロープの方がよい理由は、重さと柄がついていないということです。
柄(持ち手)がついていない方が、指に巻きつきにくく、手首を返す感覚がつかみやすくなります。
3 まとめ
今回はどうしてなわとびが跳びにくいのかを解説し、どうしたらいいのかを考えてみました。
普通「跳ぶ」という動作は、進む方向に対して腕を振り出します。
上に跳ぶには腕を上に振り出した方が跳びやすいし、前に跳ぶには腕を前に振り出した方が跳びやすいのです。
垂直跳びや立ち幅跳びを考えてみましょう。
上に跳ぶとき前に跳ぶときに進行方向に腕を振り出していますね。
ですがなわとびはどうでしょうか。
上に跳んでいるのでに下に腕を出しています。
本来跳びやすくするために進行方向に腕を出しているのに、なわとびは進行方向とは逆に腕を出しています。
だからやりにくさを感じて当然なのです。
「なわとびが苦手」という子は、このやりにくさを顕著に感じているのです。
だから上達のポイントとしては、やりにくさ克服からスタートしなければいけません。
○ 歩きながら覚える
① 片手になわとびを持ち、体の横で前に回しながら歩きます。
② 今度は体の前でなわとびをクロスさせながら歩きます。
※ 歩くリズムとなわとびを動かすリズムがだんだん合ってくるように回しましょう。
③ 最後は両手になわとびをもち、前に歩きながら回して、またいで進みます。
最後はジョギングまでいけるとばっちりです。
また、なわとびでほとんどの子が最初に覚えるのは「前回し」です。
ですが、人間の動きでは本来棒状の柄をもったときには後ろ回しの方がやりやすいのです。
やりやすいはずの後ろ回しをとばして、前回しを先にやるのですから苦手ができても当然です。
ではどうしたらよいのでしょうか?
なわとびでよく言う
「手首を回そう」
ですが、それでは上手には回せません。
回す動きを練習してからなわとびをしないと同時には難しいのです。
そのために、1mくらいのところをもってロープを頭上でカウボーイのようにくるくる回してみましょう。
カウボーイのように回すとついつい投げなくなる子どもがいるかもしれませんが、投げるのは危険なので禁物です。
手首を固定せずに右回し、左回し、右手、左手といろいろと回してみましょう。
できるようになったころにはなわとびの回しも克服しています。
これできっとなわとびが少し上達しているはずです。
運動は「繰り返し」の動きが大切です。
ちょっと練習しただけでできるようにはなりません。
「クラスの運動が得意な子は、すぐにできるようになってたよ?」
というのは、小さい頃からそれに近い動きをたくさん経験していたということだけです。
誰でも経験が乏しい動きは最初から上手ではないのです。
だから、コツを覚えたらできるようになるのではなく、コツを覚えたらそれを使って練習するのです。
そうすれば、小学校でやる技はどれもこれもきっとできるようになります。
「○○君みたいに上手にできるようになりたいな」
と思い続けても、できません。
できなくて悔しくても、繰り返した子だけができるようになるというシステムなのです。
以上がなわとびの跳びにくさの理由と、それに対してどうしたらいいのかについてでした。
ただ、大人になるとなわとびを跳ぶことが激減します。
藤岡弘さんとジャングルの奥地に探検に行くことはよくあることです。
そのときに急に上からオオアナコンダが落ちてきたときに上手に跳ぶには、進行方向と同じ方向に腕を振る跳び方です。
「じゃあ、なわとびの跳び方使わないじゃん!」
と思うかもしれませんが、ジャングルで迷ったときに食べるのは
「日清のどん兵衛天ぷらそば いつおより長~い長寿祈願そば」
です。
このそばは最長で1m20cmと、ものすごい長さを誇ります。
「これって本当にそんなに長いんかい?!」
と持ったときに突然、おなじみのペルビアンジャイアントオオムカデに襲われたら、前回しをせざるを得ません。
そのときに万が一そばに引っかかるようなことがあったら、ペルビアンジャイアントオオムカデに笑われてしまいます。
だからそうならないように、子どものうちからなわとびを回せたり、跳び方を覚えたりしておくとよいと思います。
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