マット運動において前転と後転というのはすべての技につながる基礎・基本と言える技です。
前転と後転ができないのに開脚前転はできないし、伸膝後転はできません。
それらを完璧にやってこそ、発展技につながります。
一方で、意外と前転や後転ってできない子どもって多い。
今回はすべての子どもが前転をできるようにするにはどうしたらいいのかを解説したいと思います。
１ そもそも前転とは
子どもによっては前転という名前を聞くと「あぁ～、でんぐり返りでしょ」と言います。
確かに同じような技です。
ですが、子ども達の認識には大きな違いがあります。
とりあえず前に回っていれば「前転＝でんぐり返り」と思っています。
しかし、前転というのはそういう技ではありません。
「手をついた状態で頭を体の下にして、背中を地面につけて一回転し、再び起き上がる動き」
です。子どもの中には
・とりあえず手はつかないで回る。
・回ったあとはお尻がマットについている。
・「よっこらせ」と片手もしくは両手を後ろについて起き上がる。
これらも、前転（でんぐり返り）だと思っています。
そうではなく、
両手をマットにつけて、手と手の間に頭（後頭部）がついて、回転の力を利用して、反動で再び起き上がる。
これが前転と言います。
どうして回っていればいいという前転ではないのか。
答えは簡単です。
この前転を覚えないと、その後の技に繋げることはできないからです。
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２ 前転をするためのコツ
まず、ちゃんとした前転をしていないと回ったときに痛いです。
ちゃんとした前転というのは上記の通りですが、もう一つ加えるとすると「体を丸める」ということでしょう。
前転ができない最大の要因は体が起き上がっているからです。
体を丸めていないと、背中をマットに打ち付けてしまって痛い思いをします。
そこで一つ目のコツは
「体を丸めるために、回るときには自分のおへそを見る」
です。
顎を引きなさいという言葉よりも効果があります。
２つ目のコツは
「最後まで回っているために、タイヤのように転がる」
です。
回るために足がマットから離れた瞬間に、安心してしまって体が起き上がってしまいます。
最後まで丸まったままの状態でいるという意識をもたせましょう。
別にこれがタイヤでなくてもかまいません。
丸くていつまでも転がっていそうなものならば何でも大丈夫です。
３つ目のコツは
「自分にとって一番小さなタイヤになろう」
です。
立ち上がる寸前で足をのばしてしまう子がいます。
そのようにならないように、最後まで丸まっているように小さくなることを伝えます。
これら声かけをするだけで劇的に回ることができます。
もちろんですが手をつかないというのは前転の技能ではないので、両手をつけさせましょう。
後転はどうやったら回れるかについては
ブログ：マット運動攻略！だれでも簡単に後転ができるようになる！
３ 場の設定
マット運動は、マットを並べて一斉に前転をしたり後転をしたりする授業が典型的です。
ですが、運動技能というのは技を切ってしまって断面的に行う方が身に付きます。
前転という基本的な技でも最初に技能を身に着ける段階では、
②回り始める段階
③回転して起き上がる段階
に分けると格段に技の仕上がりが良くなります。
運動技能は、それぞれの技を身に着けて一連の流れにするという意識をもちましょう。
ということは、場の設定をするときには、断面的に切ったそれぞれの技を身に着けるための場を設けましょう。
単に一斉練習をするのではなく、Aという子は①、Bという子は②、Cという子は③と、自分で考えて場を選ぶことで、児童の思考を高めることができます。
場を断片的に切るコツについては
ブログ：跳び箱のコツを徹底解説！跳ぶって意外と簡単
４ まとめ
前転をまわるためには
② おへそを見ながら回りはじめる。
③ 回るときには後頭部をマットにつける。
④ 回っているときにはタイヤになった気持ち
⑤ できるだけ小さなタイヤを意識して、起き上がりも足をのばさないようにする。
場の設定では、技を断面的に切ってそれぞれの技を身に着けるための場を作る。
子どもに自分が身に着けたい場を選ぶことで思考力が高まる。
以上が前転を回るためのコツについて解説しました。
場は技能を身に着けるうえで最重要課題の一つです。
「場を制する者は体育授業を制する」
を意識してみましょう。
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