【加茂公園ローラースライダー事故】今と昔の子どもの体力と運動能力!今の子を救う公園活用法!

体育

新潟県の加茂の公園で起こった事故はご存じでしょうか?
新潟県加茂市にある全長150メートルのローラースライダーです。
11月2日、校外学習で公園を訪れていた小学生5人が、カーブでバランスを崩し金属製の柵に衝突しました。
1人が頭や顔の骨を折る重傷、4人が軽傷を負いました。
五泉市教育委員会は「教員の注意深さが足りなかった」とし保護者に謝罪をしたうえで、市内の小中学校に対し注意を呼びかけたということです。
新潟 NEWS WEB


1 本当に注意深さが足りないの?

校外学習ということは学校行事の一環ですから、教職員が怪我をしないように見守るということは大前提ですが、私には「教員の注意深さが足りなかった」という教育委員会の謝罪にはなんとなくしっくりきません。
教員がレジャーシートを敷いてのんきにお弁当でも食べながら団欒していたならそれはそうでしょうが、きっとそんなことはしていません。
このときの引率は3人です。
校外学習での教員は写真を撮ったり、たくさんの子どもたちを見守ったり、トイレに連れて行ったり、体調不良の児童がいたら付き添ったり・・・やることは山ほどあります。
今回、出かけたのは1、2年生ですから、それは細かいところにまで手がかかります。
注意はしていたのだと思います。
それでも起こってしまったのです。
だから教職員を守るべき教育委員会の発言ではないような気もしています。
そしてこのローラースライダーは30年前に建設されています。
その間にたくさんの怪我があったでしょう。
今年の5月にも怪我があったということです。
私はこの30年間で子どもの体力の質や運動能力、巧緻性などが著しく落ちているのだと思います。
だからこれは「教員の不注意」ということで片付けてはいけないことなのです。

2 事故から考えるべき本質

これを受けてまず考えるべきはこれ以上に教員の注意力をつけることではなく、子どもの体力向上です。
しかし、世は学力時代です。
「体力と学力のどちらを伸ばしますか?」
と聞けば9割以上は「学力」と答えるでしょう。
私もそう思います。
なぜかというと、人生でまず必要な能力は学力が先だからです。
体育系の高校や大学に進学しない限りは、試験で体育的な実技試験をするような学校はあまりありません。
就職試験でも体育的な実技試験をする会社はほとんどないでしょう。
人生設計をするためにはまず学力の方が必要で、体力は息抜き程度にしか考えられていません。
しかし、もっと年齢を重ねると生涯スポーツということで健康を保つために多くの人が運動に取り組むようになります。
そこになってはじめて「体力」が出てきます。
ということはやはり今の世の中では体力は後回しなのです。
これでは子どもの体力は落ちて当然です。
以前は外遊びなどでつけてきた体力や運動神経は今では環境の問題で身につけにくくなっています。
そのせいで子どもの体力は二極化していると言われています。
日々運動している子の体力はもちろん高いし、ほとんど運動しない子は体力が低くなっています。
本来子どもにとっての運動とは、スポーツ少年団に所属してサッカーや野球、バスケット、水泳などに取り組んで体力をつけることももちろんですが、日々の遊びの中から体力というのは勝ちとることができます。
遊びの中から体力を身につけるためには、公園です。
固定施設で遊びましょう。

3 固定施設

公園や校庭にある固定施設を遊びの施設と考えている方、実はあれはかなり体力と運動神経を鍛えることのできるトレーニングジムです。
しかも無料な上に子どもにとっては遊びとして使っているのに体力や運動神経を鍛えることができる優れものです。
この優れものをいかに上手に使うのか、使い方を知っているのかについて理解していることが指導者の力量となります。
また、親としてもそれぞれの固定施設の使い方を知っていれば、我が子の体力を伸ばすきっかけになります
ぜひ、それぞれの固定施設について理解してほしいと思います。

4 すべり台


「すべり台なんてただ滑ってくるだけじゃないの?」と思いますよね。
でも考え方や使い方によっては多くの能力を鍛えることになります。
すべり台で鍛えることができる能力は
「脚の筋力」「バランス力」(場合によっては「上半身の筋力」)
です。
まず、はしごを登ることで脚の筋力を高めることになります。
すべり台を滑り下りるだけでは何かの効果はなさそうだけど
「どんな体勢が一番速く滑り降りられるか」
「どうしたらゆっくり降りられるか」
という投げかけをしたらどうでしょう。
立って滑りだしたらバランス感覚が身に付くと思いませんか?
「立って滑りましょう!」ということではなく、子どもの発想や感覚を養うことが大切なのです。
一番速く滑る方法は立つことではないかもしれません。
その子のもっている技能の中で一番を見つけることが大切なのであって、すべての子どもの中で速い方法を見つけることが大切ではありません。
成長を促すのが大切なのです。
ちなみに(場合によっては「上半身の筋肉」)と書きましたが、私はすべり台の上の柵にぶら下がって懸垂をします。
すべり台としての用途ではありませんが、物は使い様です。

5 ジャングルジム

ジャングルジムで鍛えられる能力は
「高さ感覚」「逆さ感覚」「バランス感覚」「脚力」「上半身の筋力」
です。
一番上まで登ることで脚力や上半身の筋力がつきます。
ジャングルジムの上に立つと、それがどの場所でも、たいていは自分の身長を越えます。
自分の身長を越えるのはとても高く感じます。
高く感じることで高さ感覚が養われます。
くぐりぬけることでもバランス感覚や筋力、さらには判断力も使います。
できるだけ高いところから飛び下りるという課題を出したら?
子どもは飛び下ります。
もちろんですが、自分の技能の範囲内です。
でも一段一段上げて行くと、高いところから飛び下りる子も出てきます。
鉄棒の逆上がりの練習として足抜き回りもしてみましょう。
筋力だけでなく、逆上がりの練習になります。
応用としてジャングルジムおにごっこをすると「バランス」「判断」「高さ」「筋力」と様々な力が身に付きます。

 

6 まとめ

今回は加茂のローラースライダーの事故から、子どもの体力低下が顕著に出てきているのではということで比較的どこの公園や校庭にもありそうな2つの遊具について解説しました。
遊具は使い方次第で子どもの体力と運動神経を鍛えてくれます。
危ないからというのではなく、積極的に遊ばせてあげましょう。
危ないことは子どもは自分からやりません。
むしろこれをやると危ないということを知る勉強にもなります。
怖がるのであれば近くで支えてあげればいいのです。
大けがに繋がらないように支えてあげましょう。
固定施設トレーニングは幼稚園から大人まで、幅広く有効です。

 

① すべり台「脚の筋力」「バランス力」
・はしごの上り下り
・できるだけ速く滑る
・できるだけゆっくり滑る

② ジャングルジム「高さ感覚」「逆さ感覚」「バランス感覚」「脚力」「上半身の筋力」
・ジャングルジムの上り下り
・ジャングルジムに立つ
・ジャングルジムから飛び下りる
・ジャングルジムをくぐる
・ジャングルジムで足抜き回り
・ジャングルジムおにごっこ
これらをすると様々な運動神経が鍛えられます。

今回紹介した遊びを1回2回やりましょうではありません。
いくらなんでも1回2回では何も身に付きません。
でも、何度も何度も遊ぶことでこれらが自然に身に付くのです。
だから子どもに遊び経験をたくさんさせて方が良いのです。
体力がつけば事故や怪我というものは回避できるようになるはずです。
今の子どもは各種運動・スポーツの動きが身についていないというのは、外遊び経験と危険経験が圧倒的に少ないのです。
危ないときには近くに大人がいることを伝えてあげればそれで安心します。
お子さんと一緒に遊具で遊んであげてください。
固定施設の使い方は考え方次第で、無料トレーニングジムに変わります。
ぜひ子どもから大人まで、遊んでみてください。
ただ、大人だけでは公園遊びをすることは激減します。
でも天空の城ラピュタに行くことはよくあることです。
そんなときに、張り巡らされた木の根やロボット兵が出てくる穴などをクリアするためには、子どものうちから公園遊びをしていろいろな力を身につけておく必要があります。
きっとシータも頼ってくれます。
ただ、ムスカに狙われる可能性がありますので、ラピュタでは目立った動きは禁物です。
あくまで遊んでいる体でお願いします。


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