学期ごとに先生方は通知表を書きます。
以前と比べれば手書きではなくなった分、少しは良くなったものの、大変な作業であることには変わりありません。
成績をつけるときや所見を書く時には細心の注意をはらって通知表を書いています。
今回は、通知表を書くときに気をつけるべきことをまとめてみましたので、いざ書くときの毎学期の確認ブログになればと思います。
1 成績について
小学校では滅多にありませんが、指導要領の開示請求があった場合には提示する場合があります。
通知表の評価を甘くして、指導要録の評価がかけ離れていては問題です。
保護者に質問されても「~だからA・B・Cです」と説明ができるようにしておきましょう。
そのためにはちゃんとして評価名簿をもっていなければいけません。
「あの子は普段ちゃんとした姿勢で授業を受けていないからCでいいや」
だとそれはちゃんとした証拠にはなりません。
理由をはっきりさせておきましょう。
2学期の評価が1年の評価を決める場合がある
各教科の評価項目
1学期A 2学期Aなら 要録はほぼA (3学期Cだと要録はB)
1学期A 2学期Bなら 要録は3学期の評価による
1学期B 2学期Bなら 要録はB
というように、2学期の評価で指導要録の評価が決まるということがあります。(評定のある場合は、特に意識しましょう)
行動面
例えば
「責任感」1学期と2学期がAなら、指導要録は責任感Aをつけることになります。
要録につける○が1~3なら、児童の特長をよく考えてつけましょう。
2 所見のヒント(具体例付き)
① 成績評価(学習面・行動面)との統一性
成績にCがついているのに、その項目についてとことん褒める言葉が書かれているのは×です。
Cがいくつもついたら
「どのような指導をしてきたのか」
「これからどのような指導をしていくか」
などを書くと良いでしょう。
「思考を要する問題を苦手としていたので、図や数直線を使って考えるように指導してきました」
「宿題や自主勉強に取り組めたときには成果が上がっていました。継続して取り組めるように、支援していたいと思います」
「宿題や自主勉強に取り組めたときには成果が上がっていました。継続して取り組めるように、指導していきたいと思います」
② 成長したことや伸ばしたいことを中心に記述する
所見を書くのに、文章として残すべきかどうかを考えて書きましょう。
伝えるほどのことでもないことは書かない方が良いでしょう。
よくできなかったことは、ストレートな表現を避けましょう。
もしも目に余るほどのよくできないことなどは、電話や直接保護者と会った時に伝えた方が良いでしょう。
忘れ物についてなど、保護者とも連携することが大切です。
通知表でいきなり伝えた場合「どうして早く言ってくれなかったのか」という思いになる保護者も中にはいます。
③ 一文が長すぎないようにする
「、」「。」がない、長い文章は大変読みにくいです。
そしてわかりにくいです。
ですから、書いた後に自分で読んで、句読点がうたれているかを確認しましょう。
④ 文のつながりを考えて記述する
事実のみを羅列すると読みにくいし、何を伝えたいのかがわかりにくいです。
【例】
「全体的な面 → 学習面 → 生活面 → 来学期に向けて」
など、ある程度まとめて書くようにしましょう。
(学習面) 算数では、課題が出されると「こういう考えもありますか」と、自分で考えた解決方法を説明するなど、主体的に取り組む姿が見られました。
漢字の読み書きでは、練習したときは成果が上がっていたので、継続して取り組めるように支援していきたいと思います。
(生活面) 「~しましょうか」と進んで声をかけ、「気付き・考え・判断・行動」を意識して行動する姿は、級友のお手本となりました。
図工の描画では、物語を読んで想像したことをじっくり考え、自分で表現したいことが決まると、満足できる作品にしようと粘り強く取り組みました。
(生活面) 生活面では、男女の分け隔てなく接することができ、友達の過ちを快く許したり、困っている友達に声をかけたりする優しさが見られました。
宿題などの提出物が遅れることがあったので、期限を守る責任感がもてるように支援していきたいと思います。
⑤ 文章のコピー&ペーストは避ける
児童同士、親同士で見せ合うこともあります。
たまたま見せ合った親同士で同じことが書かれているとあまり良い印象はもたれません。
ですから所見は1人1人の文章にしましょう。
⑥ 保護者の立場で読み返す
子どものよさを中心に記述し、親が読んだときに共感できるような内容になっているかという視点で書きましょう。
⑦ 他の人に読んでもらう
どの学校でも管理職が最終確認をしますが、学校によっては、学年内で読み合うこともあります。
忙しさはありますが、お互いに学び合う機会になります。
誰の文章も読んだことがないと、自分の書き方しかわかりません。
たくさんの情報を得るためにも他の先生の文章を読むというのはとても良いことです。
3 迷いやすい表記
① 補助動詞は、ひらがな表記
○ 「ください」
漢字で使うのは、本動詞(~を)下さい 【例】お金を下さい
補助動詞(~て)ください 【例】頑張ってください 提出してください
○ 「ほしい」
漢字で使うのは、本動詞(~が)(~を)ほしい 【例】お金が欲しい
補助動詞(~て)ほしい 【例】頑張ってほしい 提出してほしい
② 「たち」
○複数を示すときはひらがな 【例】私たち 子どもたち
○単数形は漢字 【例】友達 先生達
③ 「とおり」
○(~を)通して 【例】活動を通して
○(~の)とおり 【例】次のとおり 資料のとおり
④ 「さらに」
○更に(副詞) 【例】更に検討する
○さらに(接続詞) 【例】さらに、私は・・・
⑤ 「とき」
○時・・・時間、時刻、時期を示す 【例】子どもの時 先日、友達に会った時
○とき・・不特定の時 【例】階段を上がったとき、頭痛のとき
⑥ 「つく」
○身に付く
○気を付ける
○見付ける
○気付く
○片付ける
○関連付ける
○思い付く
⑦ 「はいふ」
○配付(一人一人に配る、特定の人物に配る) 【例】通知表を配付する
○配布(不特定多数の人に広く行き渡るように) 【例】ちらしを配布する
⑧ 「ともに」
○共に(副詞「いっしょに」という意味) 【例】家族と共に
○(~すると)ともに 【例】説明するとともに
⑨ 「せいさく」
○制作(絵画などの芸術作品を作りあげること) 【例】図工では、絵の制作を~
○製作(実用的な物を作ること) 【例】家庭科の調理や製作では~
⑩ 「~をもつ」 「持つ」と「もつ」
○持つ(人が所有・所持) 【例】荷物を持つ 店を持つ
○もつ(人が所有・所持以外) 【例】身がもたない 肩をもつ
○気持ちや感情などは「人が所有するもの」と捉えられるため、迷うところです。
公用文では「ひらがな」で書く場合が多いです。
責任をもつ 希望をもつ 勇気をもつ 自信をもつ 気持ちをもつ
課題をもつ 知識をもつ 考えをもつ 見通しをもつ
⑪ 「~たり~たりして」 単独では使わない
× 野球をしたり、ドッジボールをして、楽しんだ
× 野球をしたり、ドッジボールをしたり、楽しんだ
○ 野球をしたり、ドッジボールをしたりして、楽しんだ
○ 漢字練習をしたり、音読をしたりするんなど、自主勉強に励んだ
⑫ 同じ語句の多用に注意
「とても」「しっかりと」「きちんと」など
【例】
× ~さんは、とても元気で、とても頑張っています
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4 間違いやすい表記
×暖かい心 ○温かい心
×言葉使い ○言葉遣い
×きちんと後仕末 ○後始末
×手を上げて ○手を挙げて
×意志表示 ○意思表示
×多勢 ○大勢
×温好な性格 ○温厚な性格
×充分 ○十分
×幅飛び・高飛び ○幅跳び・高跳び
×無我無中 ○無我夢中
×つまづき ○つまずき
×小人数 ○少人数
×心気一転 ○心気一転
×期待に沿う ○期待にそう
×仲間同志 ○仲間同士
5 まとめ
今回は通知表の書き方について解説しました。
成績や所見など、書くときの注意点や言葉など意識しながら書くべきことがたくさんありますので参考にしていただければと思います。
先生方はいろいろな子に所見を書いています。
例えば桃太郎に通知表の所見を書くとしたら
「いつも明るく元気に生活しています。また、お年寄りにも優しく接することができ、いつも感心しています。桃から生まれたという経験を活かし、講演会で熱弁する姿は級友の良いお手本となっています。学習面では、水泳の「桃流れ」が得意で、50mをゆっくりと優雅に流れて上手に拾われていました。生活面では「鬼退治に行く」と力強く発言し、犬・猿・雉とともに鬼が島に行き、見事に鬼を退治することができました。一人では困難なことでも協力すれば成し得ることを示してくれました。これからの成長も期待しています」
このようにその子が頑張ったところをよく見て、次の頑張りにつながるように書けると良いと思います。
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