高学年になると器械運動のマット運動では、連続技をすることになります。
そのときに倒立前転ができるととても有利に演技構成を組むことができます。
ですが、倒立前転は簡単な技ではありません。
かといってすごく難しいということでもないのです。
ちゃんと段階的に学ぶことで倒立前転は誰でもできるようになります。
今回は倒立前転をするために前段階として逆立ちのやり方について考えていきたいと思います。
1 転べることが大切
柔道でもそうですが、受け身ができるから投げられても大丈夫なのです。
逆立ちも同じで、転ぶのが怖いから逆立ちができなかったり、動きが小さくなってしまいます。
動きが小さくなればおのずと技の完成は遠のいてしまいます。
だからまずは転ぶことを学びましょう。
逆立ちは、頭を下にして立つので、最初は怖いと感じるかもしれません。
そこで、いきなり逆立ちの練習から入るのではなく、まずはマットの上でゴロンと転がることからはじめてみましょう。
転がる姿勢は、逆立ちに失敗して転ぶときの姿勢とな字なので、この経験をたくさん積んでおくと、逆立ちの練習に入った時に上手な受け身姿勢が取れるようになります。
「でも転がるってなんだ?」
と思うかもしれません。
そんなときはでんぐり返しをたくさんしてみましょう。
前に転がったり後ろに転がったり、斜めに転がったりします。
前転や後転のようにきれいに転がろうとしなくてもいいので、好きな方にゴロゴロしてみましょう。
転がっているうちに、自分の得意な転がり方が見つかります。
それが、自分の身を守る理想的な受け身の姿勢です。
この姿勢に慣れてしまうと、逆立ちで失敗しても、すぐにこの姿勢がとれるので、上手に転ぶことができます。
上手に転ぶって実は大切なことなのです。
逆立ちだけでなく、例えばサッカーで相手に押されて倒れることがあります。
そんなときに上手に転べれば怪我なく倒れることができるのですが、転び方を知らないと怪我につながってしまいます。
スキーなどもそうですね。
いっぱい転ぶという経験を積みましょう。
「転ぶって怖いなぁ・・・」
と思うのですが、大人はそうに思うものです。
でも子どもは大人より転がることが得意なのです。
立って歩きはじめるまでに、何度も転んでいた幼児経験が、まだ体に残っているからと言われています。
体が柔らかいという理由だけではないのです。
2 逆さ姿勢に慣れる
転がることに慣れたら、次は逆さの姿勢に慣れる練習をしましょう。
逆立ちが苦手なのは、人間はその逆さ経験が少ないからです。
やったことがないことは怖いのです。
後ろに歩くのも怖いですよね。
もちろん見えないからというのもあります。
経験が少ない動きは怖くて当然です。
だから逆さ経験を積みましょう。
でもいきなり足を天井に上げるのではなく、まずは上半身だけ逆立ちになってみましょう。
これなら頭を下にするのが苦手な人も怖くなくできるはずです。
上半身だけ逆立ちとはどんな動きでしょうか?
「ブリッジ」と言えば分りやすいでしょうか。
マットの上に仰向けに寝て、手でマットを押して腰を持ち上げます。
手でマットを押すことと、目線をマットに向けることがポイントです。
頭を下にしてお尻を高く持ち上げているので、上半身は逆さになっています。
立派な逆立ちの姿勢です。
ブリッジで逆さの姿勢に慣れ、手で体を支える力がついてきたら、ブリッジで前後左右に歩いてみましょう。
腕で体を支える力がもっと強くなります。
ブリッジは逆立ちになった後、マットに下りるときの姿勢でもあるので、ブリッジの練習をすることで、逆立ちの受け身が練習できます。
次に「カエルの足打ち」をやってみましょう。
四つん這いの姿勢から両足を上げて空中で足を叩いてみましょう。
何回叩けるかを数えましょう。
たくさん叩くためには腰を高く持ち上げるのがポイントです。
滞空時間が長くなるほど、逆立ちの姿勢に近づきます。
慣れてきたら前に進んでみたり、その場の止まってみたりしまそう。
3 逆立ち歩き
マット運動の連続技の一つとして「逆立ち歩き」はしませんが、手で5,6歩進めるようになったら、足を大きく振り上げて歩いてみましょう。
手を前に動かすときに、上げた足を交互に動かしてバランスをとります。
きれいに歩こうとせず、思いっきり足を振り上げて、腰を少し反らせるつもりで行いましょう。
大きく振り上げた足を空中で保っていられるようになってくれば、逆立ちはほぼ完成です。
逆立ちというとピタっと止まっているイメージであるかもしれませんが、実は、逆立ちで止まるのはとても難しいことです。
それよりも逆立で歩くほうがバランスががとりやすくなります。
逆立ちで歩けるようになってから止まる練習をしていく方が無理がありません。
きれいな倒立のポイントは手の指と頭です。
【手の指を曲げる】
手の指を軽く曲げると、足で立っているときと同じようにしっかり床を掴んで立つことができます。
【頭を上げる】
手を見るように頭(顎)を軽く上げると、体が反ってきてバランスが取りやすくなります。
4 まとめ
今回は倒立前転につなげるために、まずは逆立ちの練習について考えてみました。
転がることに慣れる
逆立ちが怖いのは転がるのが怖いからです。
だからまずは転がる練習をしっかりしましょう。
前に転がったり、後ろに転がったり、斜めに転がったりしていくうちに、自分の転び方が決まってきます。
自分の転び方を覚えると逆立ちに一歩近づきます。
逆さに慣れる
次に逆さに慣れることです。
人は当然ですが二足歩行です。
ですので頭が上にあります。
だから頭が下ということには慣れていません。
慣れていないことは怖いのは当然です。
その練習として「ブリッジ」をしましょう。
ブリッジをして少し歩けると次の段階です。
次はカエルの足打ちです。
四つん這いの姿勢から両足を上げて空中で足を叩いてみましょう。
その姿勢で歩けるようになるとほとんど逆立ちの完成です。
最後に逆立ち歩きです。
連続技をするときの倒立には倒立歩行というのはありませんが、止まるためにはまずは歩いてバランスをとれるというのが重要です。
歩きながらバランスをとって逆立ちをしてみましょう。
以上が倒立前転につなげるための逆立ちについてです。
ただ、大人になると逆立ちをする機会は激減します。
ですが、頭上に逆立ちしたアクロバット状態で階段を上ったという日本ではおなじみのベトナムのクォック兄弟のギネス記録に挑戦することはよくあることです。
逆立ちで逆さになることに慣れていると、まずは挑戦権を獲得できるでしょう。
クォック兄弟はスペインのジローナ大聖堂の階段90段を52秒という驚異的なスピードでかけあがっているので、51秒を目指すとよいと思います。
まずは90段を通常のダッシュで登れるかも確認するとモチベーションになります。
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