【ディフェンス×予測】バスケットボールにおけるプレー予測のための視覚的手がかり!

スポーツ心理学

1 はじめに

運動をしていて予測がうまく働いて、相手の次の動きを予測できたり、ボールのコースが予測できたりしたらいいなと思ったことはないでしょうか。
たとえば、攻撃を仕掛けてくる相手が次にどのような動きをしてくるか正確な予測が立てば、自分の動きによって相手の攻撃を防ぐことが容易になるだろうし、
ボールの動きが予測できればどこに動けばいいのかが容易に判断できるようになります。
スポーツ心理学の世界では、「予測」というものをずっと研究してきました。
私が学生のときに、スポーツ心理学を専攻していて予測について研究しました。
そこで考えたことや経験したことや感じたことを書かせていただきます。私が研究したのはバスケットボールでの話でした。


2 研究の目的

バスケットボールのスキルにおいて、味方の防御をサポートする「ヘルプディフェンス」は勝敗を決定する重要なスキルの1つです。
このヘルプディフェンスを成功させるためには、相手が仕掛けてくる前にドライブコースを正確に予測しなければいけません。
この予測はオフェンスやディフェンスの動作の視覚情報をもとに行われていますが、人間は一度にすべての視覚情報をしょりできないという制約があるため、特定の身体部位からの情報を選択的に抽出し、予測の手がかりにしていると考えられます。
Aberbethy and Russell(1987)によると、熟練者は初心者よりも、必要な資格情報から手がかりを抽出することに優れ、次に生起する事態について早い時期に性格な予測をしているとほうこくしている。
では、バスケットボールのヘルプディフェンスの予測においては、どのような身体部位の情報が重要な手がかりとなっているのだろうか。

この視覚的手がかりを特定する方法としてAberbethy and Russell(1987)は、空間遮蔽法を提唱した。
この方法は、ある身体部位を遮蔽して見えなくした映像を被験者に呈示し、その映像から相手がねらうコースを予測させるという方法である。
そこでの論理は、遮蔽のない映像と遮蔽された映像において正答率に差がないのならば、その遮蔽部位は予測にとって有効な視覚的手がかりではない。
しかし、遮蔽のない映像よりも遮蔽された映像において正答率が低いのならば、その遮蔽部位は予測い有効な視覚的手がかりとなる、という論理だ。
そこで私は第1の目的として空間遮蔽法を用いて、バスケットボールのヘルプディフェンスの予測に貢献する視覚的手がかりを明らかにすることを研究した。さらに経験者は未経験者よりも予測の正確性が高いと考えられることから、経験者と未経験者の比較を行うことを第2の目的とした。

(1) 被験者

経験による予測正確性の違いを調べるために、バスケットボール部入部経験者を経験者群とし、バスケットボール部入部未経験者を未経験者群とした。

(2) 要因計画

2×4の混合計画。
第1の要因は経験で、経験者群と未経験者群からなる被験者間計画。
第2の要因は遮蔽部位で、胸部条件、腰部条件、下肢条件、統制条件の4水準からなる被験者内計画。

(3) 課題及び装置

実験課題は被験者がスクリーンから2m離れた位置に座り、パソコンとプロジェクターによって映し出された映像を観察し、その1人のディフェンスとしてヘルプディフェンスに「行く」か「行かない」かを判断することであった。
映像はハーフコートで行われている3対3の攻防を、その1人のディフェンスプレーヤーの視野で撮影した。映像は1~7秒間のプレーの流れを見せて、オフェンスが映像中で実際にドライブを仕掛けた時の1歩目で停止させた。
さらに映像が停止してから5秒五に映像が消えるようにした。
その映像を全部で10パターン作成した。
これらの映像に空間遮蔽法を用いて加工を施す。
遮蔽する部位は胸部、腰部、下肢の3か所である。
これにどの部位も遮蔽しない映像を含め、4種類×10パターンの計40種類の映像を作成した。

(4) 手続き

被験者には呈示された各映像に対して5秒の間にヘルプディフェンスについて「行く」「行かない」「わからない」を口頭で回答させた。
ヘルプディフェンスに「行く」「行かない」の正誤は、映像で実際にオフェンスがディフェンスを抜けずに止められてしまった映像の場合は「行かない」を正答とした。
試行数は4遮蔽条件の組み合わせが、それぞれランダムに10回ずつ呈示されるよう計40試行とした。
試行間には10秒の休憩を挿入した。所要時間は30分であった。

(5) 依存変数

ヘルプディフェンスの予測において各遮蔽条件の40試行中の正答率を依存変数とした。

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3 結果と考察

全体の正答数の分析には、経験(2)×遮蔽条件(4)の第2の要因について繰り返しのある2要因分散分析を用いた。
主な結果は
(1)経験の要因については、経験者の成績は未経験者の成績よりも有意に優れていた。
しかし、正答率が経験者67.2%に対して、未経験者59.1%であったことは、目下の課題が難易度が低い課題であったことを示している。
(2)遮蔽条件の要因については経験者、未経験者のいずれにおいても胸部条件は統制条件よりも有意に成績が劣っていた。
空間遮蔽の論理に従えば、このことは遮蔽された胸部がヘルプディフェンスを行う際には、ディフェンスの胸部を中止することによって、より正確な予測が得られると考えられる。

刻一刻と動くバスケットボールという競技の中で胸部だけを注視するということは難しいことかもしれないが、予測の手がかりになっているということは言える。
今後、ディフェンス場面だけでなく、オフェンス場面でも両者の動きや文脈から予測手がかりを検討したい。


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