バスケットボールの授業をしていて身につけさせたい基礎技能ってなんだと思いますか?
① ドリブル
② パス
③ シュート
この辺りが思い浮かびそうですね。
これらを6~8時間くらいしかない体育授業で使いこなす程度まで習得するのはかなり難しいことです。
今回はゴール型の「バスケットボール」で身に付けさせるべき基礎技能について考えて行きたいと思います。
最後まで読んでいただくと「今まで余分なことまで教えていたなぁ」ということに気が付き、本当に大切な教えるべきことが見えてくるかもしれません。
1 ゴール型
体育の授業では「バスケットボール」「サッカー」「ソフトバレーボール」「ソフトボール」などの種目を教えましょうというものはありません。
その代りに「ゴール型」「ネット型」「ベースボール型」というものが存在します。
今回紹介するバスケットボールは「ゴール型」の種目になります。
ゴール型で教えるべき知識技能は
「ボール操作とボールを持たないときの動きによって、簡易化されたゲームをすること」(第5学年及び第6学年の内容)
と書かれています。
読み方によっては「ボール操作」の部分がドリブルともパスともシュートとも取れます。
でも一つ言えることは、簡易化されたゲームをするために、必要なボール操作とボールを持たないときの動きを身に付けさせると読み解くことができます。
3つとも教えればいいじゃんと思うかもしれませんが、8時間程度で全てを定着させるのは無理なことなのです。
その中で優先順位をつけて教えていくよりほかないのです。
では、もしもドリブルをしない場合・・・ドリブルをしないのではバスケットボールとは違う種目になってしまうという意見もあるかもしれませんが、教えるべきことはあくまでゴール型です。
極論を言えば、ゴール型で教えるべきことを教えればバスケットボールに似ている種目を教材として扱っても良いということになります。
だから学習指導要領でもバスケットボールを指導するのではなく、ゴール型を通じて指導すると言っているのです。
2 教えるべきはあの技能
体育の授業の中で、何を身に付けさせればいいのでしょうか。
体育の学習指導要領から読み解いていくと・・・ドリブルという技能は身に付けさせるべき技能からは優先順位は低いです。
書いてあることは個人技能ではなく集団技能の重視なのです。
集団技能で必要な個人技能と言えば?
そうです「パス」です。
じゃあ、やみくもにパス練習をすれば良いかというとそういうわけではありません。
必要なのは「通るパス」です。
「通るパス」というのは、味方にちゃんとボールが渡るということです。
せっかく出したのに相手ボールになったのでは意味がありません。
バスケットボールをやらせたことがある先生が思うのは
「ボールにやたら集まる・・・」
ということではないでしょうか?
これはパスが上手ではないからボールに集まってしまうのです。
相手がどんどんパスを回してしまえば、ボールに集まることは逆に困難です。
さて、では身に付けさせるべきパスですが、子どもはどんなパスをするでしょうか。
「山なりのパス」「正確性に欠けたパス」
がほとんどですが、これらはディフェンスにカットされてしまいます。
ではカットされない「通るパス」といえば、
「バウンドパス」
です。
これを教えるだけで、パスが見違えるように通るし、成功確率も各段に上がります。
また、シュートやドリブルに比べて、習得にはそれほど時間はかかりません。
3 実際の指導
① どんな場面で使うか
バウンドパスと言ってもどんな場面で使うのかわからない子もいます。
パウンドパスが有効だと言う話をすると、すべてのパスをバウンドにしてしまう子もいるのです。
ロングパスもバウンドにしてしまうとそれは有効とは言えません。
どんな場面で使うのが一番効果的なのでしょうか。
それは、ボールを持っている子の前に、別の子を大の字にして立たせます。
守備の人が目の前に来ました。
守備のA君を見て、ボールが通るところはどこでしょうか?
すると「手の上」「手の下」「またの下」と答えが返ってきます。
実際にボールを通して見せると「手の上」「またの下」は難しいということがわかります。
「手の下」を通してみると画像の見た目以上に簡単だということに気づきます。
相手に近づかれたら、手の下をバウンドで通すと、味方にパスが通る
ということを学びます。
② パスの出し方
これは両手でドリブルをするイメージです。
ボールを両足の間に落とし、両手でキャッチします。
これによって両手でのパスやキャッチなどのハンドリングを身に付けることができます。
「膝についた砂をはらう感じ」と伝えるとスナップをきかせる子もいます。
③ パスを出す場所
2人で対面パスをしてみてバウンドさせる場所を考えます。
どこにボールをバウンドさせたらいいのか?
A 自分の近く
B 相手の近く
答える前に実際にやってみましょう。
自分の近くだと1バウンドでは相手に届きません。
相手の近くの方が良いことに気が付きます。
これらはすべて各時間の導入で行うドリルゲームに盛り込むと良いでしょう。
その中でグループでやって対面パスの間に1人の邪魔をする役目の子を入れるとか、四角形になって1人の邪魔をする役目の子を入れるとかして工夫すると良いでしょう。
4 集団スポーツ
集団スポーツの授業は「ドリルゲーム」「タスクゲーム」「メインゲーム」で成り立っています。
このような流れの中で技能を身に付けて行きます。
だから、今回お話した基礎技能は「ドリルゲーム」の中で身に付けるべきことです。
全8時間をバウンドパスに費やしましょうという話ではないのでご了承ください。
また、集団スポーツの組み立て方については別途解説していきたいと思います。
5 まとめ
ゴール型「バスケットボール」で身につけさせたい基礎技能は「バウンドパス」です。
それは味方に通りやすいパスのナンバー1だからです。
身に付けさせるときには
① どんな場面で使うパスなのか
② どうやったパスを出すのか
③ パスを出す場所はどこなのか
を考えさせて身につけさせてください。
これができると、ボールに集まりまくるバスケットボールではなくなります。
ドリルゲームでぜひ試してみてください。
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