攻略、走り幅跳び!体育の授業で4つの技能を身に付ければ記録が劇的に伸びる!

ランニング

走り幅跳びで記録を伸ばすには、とにかく遠くへ跳ぶしかないです。
でも遠くに跳ぶってそんなに簡単なものではありません。
どうやったら子どもたちが遠くに跳ぶことができるでしょうか。
一見単純そうな走り幅跳びですが、あの一連の跳躍の中にはたくさんの技能が詰まっています。
今回は体育技能シリーズの「走り幅跳び」です。
以前紹介した「走り高跳び」が好評だったので、走り幅跳びを解説させていただきます。
最後まで読んでいただくと、子どもに何を指導したらいいのか、身に付けるべき技能は何なのかがわかるかもしれません。

1 走り幅跳びの特性

走り幅跳びは、助走のスピードとリズミカルな動きを生かして素早く・力強く踏み切り、より遠くへ跳んだり、競争したりするところに、楽しさや喜びがある運動です。

走り幅跳びでは、その行い方を理解するとともに、試技の回数や踏切りゾーンの設置などのルールを決めて競争したり、自己の記録の伸びや目標とする記録の達成を目指したりしながら、リズミカルな助走から力強く踏み切って跳ぶこと。

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 体育編

と書かれています。
このブログでたびたび紹介している学習指導要領がまた出てきました。
今回、学習指導要領の内容から子どもたちに指導すべき点は「リズミカルな助走」「力強い踏み切り」「かがみ跳びから両足で着地」の3つです。
ですが、実は3つではなく4つなのです。
何が4つ目なのでしょうか?
それは

① リズミカルな助走
② 力強い踏み切り
③ かがみ跳び(空中姿勢)
④ 両足で着地

となるのです。
これを見て「ピンっ!」ときた方は体育のことがよくおわかりです。
そう、「走り高跳び」も、この技能だったんです。
走り高跳びのことを知りたい方は

をご覧ください。
その他の各種目の体育技能についてまとめたブログは

をご覧ください。

さて、同じ技能でも走り高跳びと走り幅跳びでは決定的に違うところがいくつかあります。
① 「上方向に跳ぶ」という走り高跳びに対して、「前方向に跳ぶ」という走り幅跳び。
② 踏切のときに踏切ゾーン(30~40cm)が決められている。
③ 両足で着地する。
これらになります。
それでは一つずつ技能を解説したいと思います。

2 リズミカルな助走

子どもは助走があればあるほど跳べると勘違いしています。
それは「走り幅跳び」に限らず、「走り高跳び」「跳び箱」など、助走を必要とする種目ではすべてで思っています。
だからきっと文部科学省は、この「リズミカル」という文言を学習指導要領の中に入れているのだと思います。
ではそんなリズミカルな助走とはなんなのか・・・。
今まででもたびたび出てきたように、リズミカルな助走とは5歩、7歩、9歩が良いとされています。
やはり奇数の歩数です。
そしてどの歩数でも最後の3歩を「ト、ト、トン!」というリズムにすることが大切です。
よく最後に跳ぶ時に歩幅が小さくバタバタと足を合わせて跳ぼうとしている子を見かけませんか?
その助走をなくして、ラスト3歩を「ト、ト、トン!」にしましょうということです。
学習指導要領はなぜ7歩や9歩で指定してくるのでしょうか。
その結論はフォームを意識させ身に付けさせるためです。
もちろん陸上競技をやっている子は7歩よりもたくさんの歩数を取っている場合も多々あります。
でも体育の授業では跳んだ距離が一番の評価対象ではないということが最大の理由です。
フォームが身に付いていないで、ただただ野生のカンで遠くまで跳んでしまう子も中にはいます。
でも体育は競技ではないので、遠くに跳べるだけの子を育てて上の学年に送り出すのではなく、フォームを身に付けて遠くに跳べる子を送り出すことが重要視されています。
極端を言えば、フォームが全く身についていない学年1遠くに跳べる子と、フォームが完璧に身についてそこそこ跳べる子だったら、後者が評価が高くなります。
9歩より15歩くらい助走した方が遠くに跳べる子はいるかもと思います。
でも、歩数が増えたせいでラスト3歩の足が合わなくなってしまっては元も子もありません。
身に付けさせるべきは正しい助走、距離はその次。
この意識を子どもにもたせることが助走指導では大切なことかもしれません。

3 力強い踏み切り

走り幅跳びは30~40cmの踏み切りゾーンの中で踏み切らなければいけません。
これは走り幅跳びの正式ルールに近づけるための理由だと思います。
正式ルールは、踏み切り場所は決まっていて、どこから踏み切っても踏み切り場所の一番先端から測定することになっています。
しかし、踏み切り場所を少しでも越えるとファールとなり記録に残りません。
「それって難しいルールだ」
と思うかもしれませんが、それが幅跳びの楽しさの一つなのだと思います。
でもあくまでこれは体育の授業です。
児童の実態に応じて柔軟に変えてあげることをオススメします。
「実態によっては、どこで踏み切ってもつま先から計測する」
というのではいいのかなって思います。
ただ、授業の最初からそれではいけません。
授業内容ではちゃんと力強い踏み切りを意識しながら、そして踏み切りゾーンを意識しながらやってください。

4 かがみ跳び(空中姿勢)

走り幅跳びの空中姿勢はなんとなく想像できますか?
いろいろな跳び方の技能はあるのですが、学習指導要領では「かがみ跳び」が書かれています。
かがみ跳びってどんな跳び方?と思いますよね。

① 最後に踏み切った足の反対側をお腹近くまで引き上げます。
② 踏み切った足も引き寄せます。
③ 両足が揃って前に突き出します。
④ 両足で着地します。

このような跳び方がかがみ跳びと言います。
文字にするとなんだかわかりにくいのですが、よく跳んでいるのを見かけるあれです。
かがみ跳びはあくまで例示なので、絶対にかがみ跳びで跳ばなければいけないものではないのですが、遠くに跳ぶための空中姿勢というのは存在します。
踏み切りのときに空中姿勢を意識しすぎると、その瞬間に体が反り始めてしまうので、まずは力強い踏み切りに意識を向けて上体を起こして跳び上がります。
また、踏み切り前にスピードが落ちてしまうと助走との連動がうまくいかないので、その点も注意です。

5 両足着地

走り幅跳びの場合は片足着地をすると、遠くに跳ぶことは困難になります。
両足着地を心がけましょう。
着地の際に「遠くへ遠くへ」を意識しすぎると、自分の能力以上に足を前に出してしまい、両足着地後にお尻をついてしまったり、手をついてしまったりしてしまいます。
そうすると、ついたところが記録となってしまうので、着地後のことも意識させながら練習をする必要があります。

6 走り幅跳びの場

走り幅跳びを行うための場を紹介したいと思います。
走り幅跳びはついつい跳ばせるだけになってしまいがちですが、4つも教えるべき技能があるので、最低でも4つの場が必要になります。

① リズミカルな助走

リズミカルなので、特に最後の3歩を意識させてケンステップを置いて「ト、ト、トン」になるようにするといいと思います。
しかし、児童によって歩幅が違います。
同じケンステップの置き方では上手な場の設定にはなりません。
でもそんなにケンステップはないし・・・。
そんなときには児童に歩幅が1人1人違うから同じ幅ではないことを伝えましょう。
そして、自分で歩幅に合わせた置き方を変えることを教えましょう。
「えっ?!動かして良かったの?」
という児童がたくさんいます。
自分の課題は自分で作った場で練習する
ということを教えると、それをし始めます。
その練習ができる子が思考力の高い児童となります。
ワークシートが上手に書ける児童の評価もいいのですが、そうやって普段の授業で、自分の課題を解決しようとして考えている児童を随時評価してあげましょう。

② 力強い踏み切り

力強い踏み切りですが、まずラインカーで30~40cmの白線を引きましょう。
そこに足がつくと自分がどこで踏み切ったのかがわかります。
目で見てわかるようにすると子どもは伸びます。
グループをつくって、配付されたタブレットを活用して撮影していて見せ合うというのも良いと思います。
これは助走でも言えることですが、途中に踏み切り板を置いておくのもいいと思います。
最後の1歩のところにおけば「バン!」という力強い踏み切りの手助けをしてくれると思いますし、最後の3歩のところに置けば「ト、ト、トン」の開始のところでわかりやすくなります。
走り幅跳びは外種目として行われることが多いので、なかなか外に踏み切り板を持ち出すことが困難な学校もあるかもしれませんが、ボロボロになったものを外専用として使うのもいいかもしれません。

③ 空中姿勢

空中姿勢で一度上体を伸ばすので、走り高跳びの支柱を置いてゴムを張っておくのもいいかと思います。
それを触るつもりで跳び出すと体が一度起き上がります。
ただ、低すぎる場合もありますので、置き場所には要注意です。
踏み切りの直後にゴムを張ってしまって、跳ばざるを得ない状況にするのも良い場の設定です。

④ 着地

着地には特に場を用意する場合はないかもしれませんが、ラインを引いておいたり、ゴムを張っておいてりして目標をつくっておくことが大切です。
やみくもに跳ぶより、子どもたちは意欲的になります。

目標をつくるという点では個人種目としてではなく、グループでやってみるのはいいかなと思います。
世界記録が8m95cmなので、4人グループでその目標を足すとよい目標になります。
詳しい授業は

 

7 まとめ

今回は走り幅跳びの解説をしました。
走り幅跳びは、助走のスピードとリズミカルな動きを生かして素早く・力強く踏み切り、より遠くへ跳んだり、競争したりするところに、楽しさや喜びがある運動です。
これらを身に付けるためにやる分解的指導は
「リズミカルな助走」
「力強い踏み切り」
「空中姿勢」
「両足の着地」
です。
ただ跳ばせるだけではそれらを身に付けるのは困難なので分解的指導のための場を用意して個々を練習し、そして一連の動きになるようにしましょう。
学校を卒業すると走り幅跳びをするという機会は激減してしまいますが、ワニの群れに囲まれるという場面は大人になるとよくあります。
そういうときに4mくらいは跳べると、とても安全にやり過ごすことができますので、小学生のうちに正しい技能を身に付けておくと良いと思います。

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