小学校入学前にできるようになりたいものの一つとして「自転車に乗れること」があります。
子どものころに乗れた自転車って大人になって久しぶりに乗っても乗れますよね。
自転車に限らず、ものを覚えるしくみについて考えていきたいと思います。
1 ものを覚えるしくみ
脳にはものを覚える「記憶」という大切な役割があります。
もし体験したことや学校で勉強したことなどを記憶することができなければ、わたしたちは何度も同じ失敗を繰り返したり、危険な目にあったりします。
記憶には大きく分けて「短期記憶」と「長期記憶」とに分けることができます。
2 短期記憶
短期記憶とは数十秒から数日くらいで忘れてしまう記憶のことです。
例えば、電話をかけるときにその場で番号を覚えたり、暗算をしたりするときの記憶です。
だれかと話をしていたとします。
メモを取るまでの間は覚えているのに、メモを取ったら忘れてしまうことってありませんか?
これも短期記憶なのです。
3 長期記憶
長期記憶とは数年から数十年の間、覚えていられる記憶のことです。
中には一生の間忘れられないものもあります。
一般的に「記憶」というときには、この長期記憶を指します。
長期記憶はその覚え方によって次のように分けられます。
① 学んで「覚える」
地名や言葉の意味、数式など、知識や情報として覚えるものです。
これらは「覚えよう」と意識しながら、何度も復習することで長期の記憶となるもので「意味記憶」とも呼ばれることがあります。
小学2年生の登竜門であるかけ算九九も覚えようと努力して行うものです。
「なかなか覚えられないんだよなぁ」という子も、何度も練習すれば覚えることができます。
② 体験して「覚える」
家族旅行や運動会の思い出など、実際に体験して覚える記憶です。
とくに「覚えよう」と意識していなくても、忘れにくい記憶となります。
「エピソード記憶」とも呼ばれることがあります。
久しぶりに会った友人と懐かしい話をしたときに
「あぁ、あのときそんなことがあったね!」
というのはこの体験して覚えるという部分です。
③ 体で「覚える」
スポーツなどの動きを繰り返し練習して、体を使って覚える記憶のことです。
「手続き記憶」や「手順記憶」と呼ばれ、一度覚えると忘れることはほとんどありません。
これが久しぶりに乗った自転車でも乗れるという理由です。
詳しくみていきたいと思います。
4 運動の記憶の仕方
長期記憶の中でも体で覚える記憶は、とくにスポーツや運動に深くかかわっています。
例えば実際に体を使って練習し、自転車に乗れるようになることも、乗り方を「体で覚えた」記憶です。
このようにして身につけた記憶は、たとえ何年間もその動きをしない期間があっても忘れることはほとんどありません。
一度自転車に乗れれば一生乗れるのはそのためです。
② すぐにできるようになることもあれば、何度も失敗を繰り返したあとでやっとできるようになることもあります。
③ 失敗した理由を見つけて、別のやり方を考えます。
④ できなくても動作を何度も繰り返すことで、いろいろな動きのパターンが脳に蓄えられます。
⑤ 必要なときにもっとも適した動きを取り出せるようになります。
⑥ そのたびに脳が指令をだし、成功します。
できるようになる瞬間はあるとき突然やってきます。
いつやってくるかは人それぞれなので、友だちの方が先にできるようになってもあせる必要はありません。
自分のペースでできるようになるまで頑張って練習することの方が大切です。
運動にはこの体で動作を覚えるしくみが多数存在します。
鉄棒、跳び箱、マット運動、ボール運動と数えれば数えきれないほどあります。
「1回でできるなんてすごいね」
というのはありません。
1回でできたように見えるのは、それまでにその運動に似た動きをしていたから、それが脳から引き出されてできたのです。
逆上がりの練習をはじめて、鉄棒も握ったことがない子が1回目ではできるようにはなりません。
小さいうちにいろいろな動きを遊びの中から手に入れておくことが大切です。
5 まとめ
今回は記憶について考えてみました。
記憶には「短期記憶」と「長期記憶」というのがあります。
短期記憶とは数十秒から数日くらいで忘れてしまう記憶のことです。
長期記憶とは数年から数十年の間、覚えていられる記憶のことです。
「記憶力がいいねぇ」とよく言われるのは長期記憶のことを指します。
長期記憶はその覚え方によって次のように分けられます。
① 学んで「覚える」
地名や言葉の意味、数式など、知識や情報として覚えるものです。
これらは「覚えよう」と意識しながら、何度も復習することで長期の記憶となるもので「意味記憶」とも呼ばれることがあります。
② 体験して「覚える」
家族旅行や運動会の思い出など、実際に体験して覚える記憶です。
とくに「覚えよう」と意識していなくても、忘れにくい記憶となります。
「エピソード記憶」とも呼ばれることがあります。
③ 体で「覚える」
スポーツなどの動きを繰り返し練習して、体を使って覚える記憶のことです。
「手続き記憶」や「手順記憶」と呼ばれ、一度覚えると忘れることはほとんどありません。
長期記憶の中でも体で覚える記憶は、とくにスポーツや運動に深くかかわっています。
例えば実際に体を使って練習し、自転車に乗れるようになることも、乗り方を「体で覚えた」記憶です。
このようにして身につけた記憶は、たとえ何年間もその動きをしない期間があっても忘れることはほとんどありません。
一度自転車に乗れれば一生乗れるのはそのためです。
できるようになる瞬間はあるとき突然やってきます。
いつやってくるかは人それぞれなので、友だちの方が先にできるようになってもあせる必要はありません。
自分のペースでできるようになるまで頑張って練習することの方が大切です。
短期記憶よりも短い感覚記憶というのも存在します。
それは運動に役立てるというレベルのものではなく、道をすれ違った人の顔を一瞬覚えている程度の短さです。
ただいろいろ記憶していてもど忘れしてしまうときってありますよね。
桃太郎の話は最後まで話せるのに、金太郎の話はど忘れして熊と戦ったことと、半裸で赤い「金」の服しかきていないのと、マサカリをかついでいることくらいしか話せないなんてよくあることです。
でも安心してください。
金太郎の話はど忘れして話せないのではなくて、最初から知らないんです。
金太郎という名前は有名なのに話を知らない日本人はたくさんいますのでご安心を。
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