投の運動は、その名の通り「投げる運動」です。
投の運動というのは、ただ遠くに飛ばせばいいというわけではありません。
正確に投げるというのも投の運動の大切は要素の一つですし、投げるフォームを身につけることも大切な要素です。
このように複雑な要素からなる投動作は、効果的に指導する必要があります。
投距離を伸ばすことだけを直接の目標とするのではなく、子どもの投の運動の面白さや喜びを味わわせ、結果として投能力が向上することを目指しましょう。
投の運動は日常的な動きではありません。
そのため、正しい動きが導かれるように、教師から気付きを促すことにより投動作は主体的に活用できる技能として習得されることになります。
今回は高学年の投の運動から遠くに飛ばすことだけではなく、正確に投げたりフォームを意識したり、楽しみながら準備運動したりする方法について考えていきたいと思います。
1 授業
はじめにオーバースローの正しい投げ方について3つの運動を通して理解させます。
グループの仲間と教え合い、遠くへ投げたり、ねらったところに投げたりして、競い合いながら投の運動を楽しめるように構成しました。
各授業のはじめに、逃げる相手を狙って投げる面白さを味わわせると期待感が高まります。
投げ方はオーバースローとアンダースローを扱います。
アンダースローでは、ボールを投げる前に、投げる方向と逆方向に引く動作を身につけさせると良いでしょう。
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2 指導と援助
投の運動は個人種目です。
しかし、グループの投距離や記録の伸びを合計するなど、競い方や得点方法を工夫することで、子どもの活発な教え合いを促すことが可能です。
高学年の子どもは身体的な成熟の変化が見られ、運動能力にも影響があらわれます。
得点方法などは子どもたちに話し合わせるとよいでしょう。
よい動きを身につけるためのオノマトペを考えさせたり、適度な投射角度が得られるように、ボールを離すタイミングについて「今」と言った声かけをさせたりすることも「主体的・対話的で深い学び」の
きっかけになるでしょう。
3 投の運動の今後
陸上競技の投げる種目には、砲丸投げ、ハンマー投げ、円盤投げ、やり投げなど多様な種目があること、投動作の習得は各種スポーツの基礎となることに触れ、中学校の学習、運動部活動などに繋げられます。
投の運動の面白さに触れることで、今回の可能性が広がることが期待できます。
4 高学年 投の運動の具体例
① アヒル投げ
腕のしなり、手首のスナップを利かせて、中指でボールをまっすぐに押し出す感覚を身につける運動です。
ボールを握った腕を高く上げます。
腕をしならせ、スナップを利かせます。
ボールを離す瞬間、中指でボールをまっすぐに押し出します。
ボールを投げた後、手首は90度曲がり、アヒルの首のようになります。
上級編として、親指と中指の2本だけでボールを握らせます。
投げる距離は近く(3m程度)します。
遠くを目指すのではなく、まっすぐに投げます。
② 一反もめん投げ
体の前後の「しなり」を身につける運動です。
投げる方に正対します。
ボールを握った手の甲を頭頂部につけます。
体を反らせ、しなりを利用して投げます。
手の甲を頭頂部につけるのは、肘を高くするためです。
体から腕のしなりを使うよう
「グー、そって、ビュン!」
のように声かけをしましょう。
できるだけ遠くに投げます。
③ かかし投げ
体の「ひねり」を身につける運動です。
顔を投げる方に向け、体は横を向きます。
片足をゆっくり上げます。
利き腕の肘を上げること、上げた足を大きく踏み出すこと、体のひねりを使うことを意識させます。
上げた膝が投げる前に投方向を向く子どもは、個別に援助が必要です。
肘が下がる子どもは「肘を耳につけるように腕を引き上げて」と声をかけましょう。
目標物をねらって投げます。
④ ボール当て
動く相手を狙って投げる楽しさを経験させる運動です。
3~5mの間隔にラインを引き、ネコとネズミチームに分け、ライン上に立たせます。
ボールは全員が持ちます。
「ね、ね、ね・・・ネコ(ネズミ)!」
のかけ声で、呼ばれた側は逃げる相手(ペア)にボールを投げます。ペアが安全地帯(ラインを引いておく)に入る前にボールを当てれば攻撃側の勝ちです。
ラインの感覚やはじめの姿勢を工夫して行いましょう。
互いに向き合って座った状態からはじめても良いでしょう。
⑤ リボン回し
肩甲骨から腕の可動域を広げる準備運動です。
記録会の準備運動として行い、記録の向上につなげましょう。
リボンの長さは2mです。
地面にリボンの先が付かないように回します。
腕だけでなく体を大きく使う子どもの姿を全体に広めます。
利き手だけでなく、反対の手や両手で持たせてください。
歩いたり、走ったりしても良いです。
リボンを回しながらサイドステップをしたり、スキップをしたりすると楽しいです。
5 まとめ
今回は高学年の投の運動から遠くに飛ばすことだけではなく、正確に投げたりフォームを意識したり、楽しみながら準備運動したりする方法について考えてみました。
高学年 投の運動の具体例
① アヒル投げ
② 一反もめん投げ
③ かかし投げ
④ ボール当て
⑤ リボン回し
投げる運動は、ソフトボール投げなどだけでなく、ボール運動でも必要なスキルです。
大人になっても投げるという行動は必要になりますので、しっかりと身につけるとよいでしょう。
以上が投げる運動についてでした。
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