「休み時間はあんなに楽しそうに大きな声を出して遊んでいた子が、どうして授業になると黙ってしまうのだろう・・・」
と思うことはありませんか?
それは子どもたちが
「間違いたくない」
「話し合っても聞いてくれない」
という不安が大きいからです。
話すことへの抵抗をなくし、あたたかく聞き合えるクラスだと人間関係はできあがっていくものです。
今回はそのような話すことへの抵抗をなくすためのトークトレーニングについて考えていきたいと思います。
1 トークトレーニングのための3つのポイント
① スモールステップ化
話し合いというのは大人でも簡単なことではないはずです
教師でも職員会議で意見を求められたら
「なんて答えよう・・・」
「この意見言って笑われないだろうか・・・」
とか思いませんか?
大人が思っているのですから、子どもだって当然思っています。
だから子どもがいきなり話し合いというのは難易度の高い技術なのです。
手を挙げて活躍するのがいつも同じ子になってしまうのは、当然です。
活躍する子が固定されるということは、活躍しない子も固定されるということです。
「今日もできなかった」
という体験を蓄積してしまうと、不安はますます大きくなるはずです。
ですからトークトレーニングは少しずつでも「今日も話せた」という「できた」体験を蓄積させてあげましょう。
難易度をスモールステップで少しずつ上げていくことが大切です。
② ゲーム化
話し合い活動ができるような土台をつくるには、話し方や聞き方の指導、クラスの人間関係づくりなど、ある程度の時間がかかります。
トークトレーニングが難しくて退屈なものだと、子どもも教師も続けるのが苦痛になってしまます。
ゲーム化することで、ペアで話し合ったり、グループで協力したりする場面を自然に、楽しくつくることができます。
トークトレーニングをする時間は楽しい時間、好きな時間と子どもたちが感じるようにしたいです。
③ 共有化
話し方や聞き方、話し合いの仕方は、一度にたくさん指導せずに、少しずつ共有化していきます。
話し方、聞き方、話し合い方はスキルです。
スキルが身につけば、確実に話し合い活動は上達します。
ただし、スキルが必要であるからといって、スキルや話型ありきで指導してしまうと、話し合い活動が固く、形式的なものになりがちです。
しかも、必要感もないまま、ただ教わっただけのものは定着しにくいものです。
子どもたちが話し方や聞き方、話し合い方のよさを実感し「自分たちで気付いた」「自分たちで発見した」「自分たちでつくった」ものにしていくことが大切です。
2 トークトレーニング
① アドバイストーク
依頼人の悩みに対してアドバイスをしようとする活動を通して相手のことを考えて助言しようとする態度を育てます。
悩みが言えるクラス、友達の悩みを解決しようとするクラスにすることができます。
① 事前に職員室の先生に悩みを聞いておいて、子どもたちに「何かいい考えはない?」とアドバイスを求めます。
② ペアで依頼人へのアドバイスを考え、その後全体で話し合います。
「校長先生からお悩みが届きました。実はネギが苦手で給食のときに困っています。何かいい方法はないですか?だそうです。」
きっと子どもたちは解決案を出してくれます。
「牛乳と一緒に飲みこんでしまったらいいです」
「鼻をつまんで食べると大丈夫です」
なんだかラジオパーソナリティみたいですね。
このような架空だとしても誰かのお悩み相談というのは子どもたちが相手のことを考えて助言しようとする力が身につきます。
依頼人を物語の登場人物や歴史上の人物に変えても、楽しく取り組むことができます。
国語の教科書でやっている物語の登場人物だと面白いかもしれません。
「モチモチの木の豆太くんからのお悩みです。いまだにせっちんに一人で行けません。何かいい方法はないですか?」
このような質問をすれば国語の話にも繋がっていくかもしれません。
「寝る前にちゃんとトイレに行っておいた方がいいと思います」
「勇気を出したときのことを思い出してみたらいいと思います」
② 何人トーク
班(4~6人)で「○○の人数」について話し合う活動を通して、グループの学習の練習をします。
友達の意見を尊重しながら、時間内に1つの答えを出せるようにします。
「将来、都会より田舎に住みたい人数」と板書します。
班で1分間話し合い、クラスで質問のように思っている人の人数を予想します。
話し合いの際、どうしてその人数なのかを考え、発表させると良いでしょう。
最後に何人かを確認します。
・今週○○した人
・将来○○したい人
・○○するならAよりもBだ
などお題は様々あります。
③ 禁止トーク
禁止ワード(使ってはいけない言葉)を指定して話す活動を通して、言葉に気をつけながら話す練習をします。
ゲームにすることで、話の展開を予想しながら楽しく会話ができるようにします。
・「外来語を禁止」などの禁止ワードを伝えます。
・禁止ワードに気をつけながらグループで楽しく会話をします。
・「一番使わなかった人の勝ち」とすることで、相手にその言葉を言わせようと、話の展開を予想した質問を考えるようになります。
・「外来語」「敬語」「数字」などがお題になりやすいです。
④ マークトーク
先生がお題を紙に書き、それを列の最前列の子が覚えます。
それを言葉で後ろの子に説明する活動です。
別の友達の言葉で説明する活動を通して、注意して聞く力、正確に情報を伝える力を育てることができます。
・マークは算数で使った図形やみんなが知っている図形にするとよいでしょう。
・言葉で伝える時間は一人30秒とします。
・聞いている人は、説明する人に質問をしたり、メモを見たりすることができないことを約束します。
・慣れてきたらマークを複雑にすると良いでしょう。
今回は朝の会でできるトークトレーニング(中級編)について考えてみました。
人前で話すのは苦手でもちゃんとトレーニングを積めばきっとできるようになります。
少しずつスキルを身につけて意見を言える子、温かい学級をつくっていってください。
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