「大切な試合や試験になると力が発揮できない・・・」
そんな、本番になると力が発揮できなくて困るということはありませんか?
今回は、本番になると力が発揮できない理由と本番に強くなるための考え方や方法を解説したいと思います。
最後まで見ていただければ、大切な本番で自分の力をコントロールできるようになるかもしれません。
1 本番に力が発揮できない理由
本番に力が発揮できないのはいろいろな理由がありますが、その理由がわかれば対処もできます。
本番に力が発揮できない方のほとんどは「損失回避レベル」というのが高いのです。
「損失回避」というのは、
「損をとにかく嫌い、損をするくらいなら得をあきらめる」
という心理現象です。
このレベルが高いのは、特に損を嫌っていることになります。
例えばこんなゲームをしたとします。
トランプのAとジョーカーを伏せておいて、Aを引いたら自分が10000円もらえる、でもジョーカーを引いたら相手に5000円とられる。
このゲームは「50%で10000円もらえて、50%で5000円失う」「カードを引くのは自分」というどちらかというと自分に有利なゲームです。
でも、損失回避レベルの高い人は「10000円もらえる」という得よりも、「5000円失う」という損に目がいってしまうのです。
そして損失回避レベルの高い人はたとえフェアなゲームであっても緊張に弱くなってしまうのです。
「負けたらどうしよう・・・」
にばかり意識がいってしまって必要以上に緊張してしまっていつものパフォーマンスが発揮できない。
これが本番に力が発揮できない人のメカニズムです。
これがはスポーツの試合や大切な試験にも言えることです。
例えば子どもが
「このレースで勝てれば優勝!」
と思えれば良いのですが、
「このレースで負けたら、いい記録を残せなかったら親やコーチに怒られるかもしれない」
という方に意識がいってしまいます。
これはかつて怒られた経験や叱られた経験によって無意識に脳や心に刻み込まれます。
そのため怒られるという「損」にばかり意識がいってしまって、勝った時の喜びや幸福という「得」には意識が向いていません。
「損」というものが極度の緊張を呼び出して、良いパフォーマンスができなくなります。
良いパフォーマンスができないくらいならまだ良いのですが、中に身体が動かなくなってしまう場合もあります。
これはプロやアマ、一流選手や三流選手に関わらず誰にでも起こりうることです。
普段はやたら強いのですが、タイトルがかかった試合だけは負けてしまうという無冠の帝王はこの損失回避レベルが高いと考えられます。
これらのことを踏まえると、本番に力が発揮できないのは、「損失回避レベル」が高くて勝った時の得よりも、負けたときの損に意識がいってしまうからと考えられます。
2 本番に力を発揮するための考え方
本番に力を発揮できるようにするには、この「損は嫌」という意識を変える必要があります。
先ほどのゲーム
「50%で10000円もらえて、50%で5000円失う」
というものを、
「あなたはもともと5000円を受け取っています。Aを引いたら10000円もらえる、ジョーカーを引いたらもともと受け取っていた5000円を返金する」
という風に考えるとどうでしょう。
実はそのような実験があったのです。
このような実験をすると損失回避レベルが下がっているという結果が出たそうです。
人間は「現状維持」の生き物ですので、基本は損をするくらいなら得はあきらめるという考え方ですが、もしも負けても今の状態が続くだけと考えることによって緊張が少し緩和されるのです。
「試合に勝てばラッキーだけど、負けても今の状態」
という考え方でパフォーマンスが変わってくるのです。
「現状維持」を意識して試合や試験に臨むことが、本番に力を発揮するための一つの方法です。
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3 本番に強くなるための自律訓練法
本番に強くなるためには自分の意識をコントロールできるようにするというのも一つの方法です。
私がおすすめしたいのは「自律訓練法」です。
人は無意識にマイナス思考でものを考える習性があります。
マイナス思考は損失回避に近い存在です。
マイナス思考をどうにかしたいときは下記のブログを参考にしてみてください。
さて、自律訓練法の中には自己催眠というのがあります。
催眠と聞くと若干怪しそうですが、そうではありません。
自分に暗示をかけて心をコントロールするのです。
たとえば試合で前半が終わったときに
「身体が疲れていない」
という催眠を自分にかけるのです。
もちろんですが、暗示をかけているだけのことで意識の問題なので実際には疲労がたまっているのですが、催眠にかかってしまえば、疲れていないことにしてくれるのです。
よくテレビで見かける催眠術でわさびをチューブ1本飲んでいる芸能人を見かけますね。
あれって本当にかかっているのかかかっていないのか、実際のところはわかりませんが暗示がすごい力を発揮することは間違いありません。
暗示をかけるにはいろいろな「○○法」のような種類があります。
正直なところ暗示をかけるにはいろいろな方法があります。
例えば
・リラックスする
・目を閉じる
・深く深呼吸する(腹式呼吸)
・「疲れていない・・・疲れていない」と考え続ける
これだけでもいいのです。
もしも試合中で横になれないのだったら、椅子に座って目を閉じてこのことをするのでいいのです。
「ちょっとちょっと、こんなんで暗示がかかるなら世話ないよ!」
と思いますが、これが重要なのです。
あくまで暗示です。
自己暗示なので「かかっていてもかかっていなくても、かかっていることにする」というのが大切な考え方なのだそうです。
かかっていることにしただけで、ずいぶん楽になります。
きっとこれが暗示なのでしょう。
だから大切な試合のスタートの前に
「緊張していない」
とか
「勝てる」
とかの暗示をかけることも一つの本番に強くなる方法の一つなのです。
潜在意識をコントロールする自己催眠術 (フェニックスシリーズ) [ 林貞年 ]
4 本番に強くなるためのイメージトレーニング
これは試合や試験当日に行うものというよりかは、その日になるまでに行うものです。
イメージトレーニングをやったときに「客観的に自分を見ているイメージ」と「自分の目で見ているイメージ」ではどちらが有効だと思いますか?
これは後者で「自分の目で見ているようなイメージ」です。
例えばバスケットボールのシュートのイメージトレーニングでは、自分がシュートを打っている姿を外から見ているイメージではなく、自分の目でみているかのようにリングを見るイメージの方が効果は高いというデータがあります。
だから、試合や試験で緊張しないためには「緊張をせずに戦っている当日の自分の姿を、自分の目で見ているかのように毎日繰り返しイメージする」ことが本番に強くなるためのイメージトレーニングとなります。
注意してもらいたいのは先ほどの自律訓練法も、このイメージトレーニングも絶対に緊張しないものではありません。
緊張を緩和する効果があるものなので、緊張を完全には取り除くことはできません。
だから「緊張は取り除くのではなく、コントロールして上手に使う」という意識をもつことが大切だと思います。
運動指導の心理学新版 運動学習とモチベーションからの接近 [ 杉原隆 ]
5 まとめ
本番で力が発揮できないという人は「損失回避」のレベルが高いということです。
「損失回避」とは「とにかく損はしたくない、損をするくらいなら得をあきらめる」という心理現象です。
損失回避レベルが高いと、たとえフェアなゲームであったとしても緊張が邪魔をしてパフォーマンスを下げてしまいます。
損失回避レベルを低くするためには「現状維持」の考え方が一つの方法です。
人は今よりも悪くなる可能性があるとそれを回避しようとしてしまいます。
だから「この場面で負けたとしても、現状維持になるだけ」という考えをもつことが良いでしょう。
また、本番に強くなるための方法として2つの方法を紹介します。
① 自律訓練法
これは自己催眠とも言って、自分に暗示をかける方法です。
「緊張していない」
という暗示をかけることによって少しだけ緊張を緩和させます。
自己催眠は「自分にはかからない」と思うのではなく、「かかったことにする」という意識が重要です。
毎日練習して暗示にかかれるようにしましょう。
きっと本来もっているパフォーマンスを最大限に引き出すために役立ってくれることでしょう。
自己催眠にはいろいろな方法があります。
呼吸法によっても暗示をかけることがありますので、ご紹介できるときにはまたご紹介させていただきます。
② イメージトレーニング
自分の成功したイメージをもつことで、試合当日の緊張を緩和させます。
このイメージトレーニングは、遠くから自分が競技や試験をやっている姿をイメージするのではなく、自分の目で見た感覚でイメージしてみてください。
これは1度や2度のイメージトレーニングではあまり効果が表れにくくなっています。
そのため効果を得るためには自己催眠同様、毎日繰り返し行うことがいいでしょう。
自律訓練法もイメージトレーニングも緊張を完璧の取り除くための優れものではありません。
あくまで緊張を緩和させて、緊張を味方につけてパフォーマンスを助けるためのスキルです。
本番に弱くて困っているという方は、この損失回避の考え方や緊張緩和のスキルと身に付けて、よい精神状態で試合や試験に臨んでみてください。
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