2018年以降、道徳が教科として新たなスタートを切りました。
そして「特別の教科 道徳」として登場しています。
そんな道徳ですが、教科化に伴い通知表や要録に所見を書かなければいけません。
所見を書くにあたって、文例集があった方がやりやすいです。
今回は道徳所見を書くための文例集をご紹介したいと思います。
所見を書く際の参考にしていただければと思います。
1 評価文例
① 道徳的諸価値についての理解(~に気づいた。~がわかった)
【大くくりなまとまり】
○ 道徳の授業を通して学んだことが、人としてよりよく生きるためには大切であることをわかっていました。(価値理解)
○ 道徳の授業を通して学んだことの大切さをわかっていましたが、時として、常に学んだことが実現できない場合もあるということにも気付いていました。(人間理解)
○ 道徳の授業を通して学んだことの捉え方が、人によって違うこともあるとわかっていました。(他者理解)
○ (低学年)よりよく生きる上で、よいと思うことを進んで行うことが大切であることを理解していました。
○ (中学年)礼儀の大切さを知り、真心をもって接することは大切であると理解していましたが、それを実践することが難しいと感じていました。
○ (高学年)よりよく生きようとする人間の強さや人間として感じる生きる喜びは、人によって異なることに気づいていました。
【具体的な取組】
○ 特に「○○」の学習では、△△は大切ですが、いつもそうであることのむずかしさについても理解していました。(人間理解)
○ 特に「○○」の学習では、△△には、人によっていろいろな見方や考え方があり、人によってその捉え方が違うということも理解していました。(他者理解)
② 自己を見つめる(自分はどうだったか)
【大くくりなまとまり】
○ 今までの自分の体験や経験に照らし合わせて、自分のこととして考えを深めることができました。
○ これまでの自分の体験や経験を思い出して、そのときに思ったことや考えたこと、感じたことなどを発言し、自分の考えを深めていました。
○ 今までの自分の体験や経験と教材の内容を重ね合わせて、自分の考えを深めていました。
【具体的な取組】
○ 特に「○○」の学習では、自分の経験に照らし合わせて主人公に共感しつつ、△△について深まった考えを述べていました。
○ 特に「○○」の学習では、自分の経験から主人公の思いを類推し、△△について自分ごととして深く考えていました。
○ 「○○」に関する学習では、主人公の気持ちを自分に重ね合わせ、「もっとよくなりたい」という気持ちから、問題意識をもつことができました。
○ 「○○」に関する学習では、「自分だったらどうするか」という視点をもちながら、授業に参加し、話し合いで意見を発表していました。
○ 学んだこと(価値)に関心をもち、自分なりに何ができるのかを考え、積極的に学びを深めていました。
③ 物事を多面的、多角的に考える(他の意見 他の視点)
【大くくりなまとまり】
○ 自分の見方や考え方に捉われることなく、友達の意見を取り入れながら考えていました。
○ 友達との交流を通して、新たな考えがあることに気づいたり、その良さを素直に受け入れたりして、自分の考えを深めていました。
○ 道徳の授業の中で、友達の発言を理解しようとする姿が見られました。
○ 自分の意見と友達の意見を比べながら、答えが一つではないものについて、考えることの難しさや大切さについて考えを深めていました。
【具体的な取組】
○ 特に「○○」の学習では、友達の意見を受け入れながら、△△について、いろいろな見方や考え方ができることに気づいていました。
○ 特に「○○」の学習では、△△について、友達とは違う視点から発言することで、クラスの話し合いが活発になりました。
○ (自律的に判断し、責任ある行動をすること)に関し、多様な意見に耳を傾けることで、自分の中に今までなかった考え方を学んでいました。
○ (みんなで協力し合って楽しい学校をつくること)の学習で、いろいろな視点から物事を見て、解決していくことのよさについて気付きました。
④ 自己の生き方について考えを深める(これから~したい)
【大くくりなまとまり】
○ 道徳の授業を通して学んだことを、これからの自分の生き方に生かしていこうとする思いをもっていました。
○ 友達との交流を通して学んだことを、今後の生活の中で実践していこうとする意識を高めていました。
○ 人としてよりよく生きるためには、これからの自分がどのように成長していくべきかについて、深く考えていました。
【具体的な取組】
○ 特に「○○」の学習では、△△について、具体的に「□□する」というように、今後の自分の生き方について考えを深めることができていました。
2 所見を書くときに意識すること
① 評価観点①②③④について年間を通して書いていくとよいでしょう。
② 内容項目(教材名)ABCDについて年間を通して書いていくとよいでしょう。
A(主として自分自身に関すること)
B(主として人との関わりに関すること)
C(主として集団や社会との関わりに関すること)
D(主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること)
3 まとめ
今回は道徳所見の文例集をご紹介しました。
参考にしていただけると幸いです。
道徳という授業は難しく、子どもたちは頭では当たり前にわかっていることを行います。
「いじめはいけないこと」と世界中の誰もが知っています。
授業ではきれいごとが言えるけれど、それが実際に結びつかないということは多々あります。
そこをいかに評価していくのかということが大変難しい教科なのです。
また、価値をどこにもっていくかによって捉えもずいぶん変わってきます。
「うさぎとかめ」のうさぎをピックアップすれば「途中で休んではいけないよ」になるし、かめをピックアップすれば「こつこつ頑張ることは大切だよ」になります。
だから目指すべきは「途中で寝ないうさぎ」を目指すわけです。
ですが、そうするとかめは圧倒的な差をつけられて負けてしまい「圧倒的な差があるとこつこつと頑張ることが無意味になってしまう」と捉えてしまう子も中にはいるでしょう。
道徳というのは難しく険しい山道なのです。
1人1人の捉えが違って良いのです。
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