体育のマット運動では、倒立を必要とする技能がたくさんあります。
倒立をできるようにするというのはマット運動攻略においてとても重要なことと言えます。
今回は倒立のやり方とその練習について解説したいと思います。
1 倒立という技能
倒立とは逆立ちとも言いますが、手が床について足が天井の方を向く技能です。
「逆立ちができる!」
という子の中に、正しい倒立ができるという子は多くありません。
そのような子は、たいてい膝が曲がっていて、手をペタペタと動かして不安定に立っている状態です。
正直、それでもとてもすごい技能であることは間違いありません。
ですが、正しい倒立と言われてしまうとそうでないような気がします。
では正しい倒立は?というと・・・
② 手と手の間を上目で見て顎が下がっていない状態。
③ お腹やお尻が出ていたり引っ込んでいたりしないで一直線。
④ 膝が曲がらず伸びていて、つま先までが伸びている。
⑤ 足は閉じていて両足が一つの足のようになっている。
これが正しい倒立です。
でも、これってすごく難しいんです。
この状態で5秒止まれたら相当すごいです。
では1秒止まれるまでの練習方法を紹介したいと思います。
2 壁倒立(お腹壁編)
いきなり何もなしで倒立するのは、よほど度胸のある子しかできません。
しかも、倒立を1秒止めるということは、先に書いたようにかなり困難なことです。
そこでまず練習したいのが壁倒立です。
その名の通り、壁を使って倒立をします。
よく「お腹が壁ですか?」「背中が壁ですか?」という質問をされます。
これはどちらも大切ですので、どちらもやってください。
身につく技能が変わってきます。
まずやるのはお腹が壁の方がおすすめです。
なぜかというと、子どもたちの多くは怖いから倒立ができません。
そのため、背中が壁だといきなり足を振り上げて頭が下にくるという状態を作り出さなければいけません。
それが怖いのにいきなり「やってみよう」では、できるものもできなくなってしまいます。
まずは腕立ての姿勢くらいの高さでもいいから、ちょっとずつ壁に脚をかけていきましょう。
怖くなくなったら段々と脚を上げていけばいいのです。
他の子ができるからという理由で怖いと思っている子を、他の子と同じレベルで考えてはいけません。
晴れてお腹がぴったり壁につくようになったら、それで1分耐えるようにしましょう。
そのときに「1」の正しい倒立の方法を意識させて行います。
お腹を壁に付けて練習すると正しい姿勢が身につくのです。
・肘を曲げない
・手と手の間を見る
・お腹とお尻にはしっかり力を入れて姿勢を保つ
・つま先まで伸ばす
・脚を閉じる
おそらく1分間、この状態を保つのはきついと思います。
でもこの1分ができると1秒が止まれるようになります。
2 壁倒立(背中壁編)
お腹壁ができたあとは、背中壁です。
お腹壁ができると、頭が下にくるということが怖くなくなっていることが多いです。
そのため、足を振り上げて倒立状態になるという背中壁倒立も練習できます。
・手をつくときには肩幅
・最初のうちは脚の振り上げが大切なので力強く振り上げさせる
・慣れたら優しく脚を振り上げる(本当の倒立は優しく振り上げるから)
・壁から離れすぎると身体が反りすぎるのであまり離れない。
これらのことを声をかけながら壁倒立を攻略しましょう。
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3 補助倒立
いきなり補助倒立から練習を開始する先生もいますが、効率的ではありません。
ですが、やらないというのも効率的ではありません。
誰かに補助をさせてソフトな振り上げができるようにしましょう。
大人が補助をする場合は、倒立の形をしっかりと作ってあげて、足首を上に引っ張って伸びる意識もさせてあげましょう。
壁倒立のときとは違って、より一層倒立という技能に近づくので、たくさんさせましょう。
・補助は絶対によけない(万が一よけてしまうと倒れることになるのでせっかく恐怖心を取り除いたのにまた蘇ってしまうか、もっと恐怖いなってしまう)
・「1」で書いた倒立の技能を改めて伝える
4 マットで倒立練習
いつかはくる補助なし倒立です。
マットを敷いて倒立をさせましょう。
意外なことにここまできている子は「バタン!」とは倒れません。
大人は近くにいて「倒れそうだったら支えるから大丈夫」と一言声をかけておくだけでいいのです。
ほとんどの場合、補助することもなく子どもが自己処理をします。
器械運動は繰り返し練習なくしてできるようにはなりません。
センスのある子は何度も何度もの回数が単純に少ないだけの話で、練習していないわけではありません。
そしてできるようになる子は恐怖心を早めに取り除いて練習を繰り返す子です。
段階を追って練習をすればきっと全員ができるようになる技です。
5 まとめ
倒立はいろいろな技能に役立つ技です。
・ 倒立前転
・ 後転倒立
・ 側方倒立回転(側転)
・ 前方倒立回転跳び(ハンドスプリング)
これらをするにはやはり倒立が必要不可欠です。
1 壁倒立(お腹壁編)
お腹を壁にして倒立をする。
倒立に必要な姿勢が身につく。
倒立に対して恐怖心が取り除ける。
2 壁倒立(背中壁編)
背中を壁にして倒立する。
脚の振り上げを身に付けることができる。
強い振り上げからソフトな振り上げへ。
3 補助倒立
人が補助をしてあげる。
子ども同士でできるようにすると早く技能が身につく。
4 マットを使って倒立
1人で倒立に挑戦。
「危なかったら必ず支える」と言って先生が近くにいるだけで実践できる。
以上が倒立の段階的な指導です。
学校でなくても、家庭でもできる練習です。
わが子のために両親が一緒にやってみてはどうでしょうか?
段階的に指導をして技能を身に付けさせてあげましょう。
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