【器械運動】小学校の跳び箱授業で最強技!最高難度の回転系を極めよう!跳び箱前方倒立回転跳びへの道!

体育

これまで跳び箱の技能に関してたびたび解説させていただきました。
跳び箱を跳ぶための技能の分解方法、開脚跳び、抱え込み跳び、台上前転などいろいろな技能法を紹介させていただきましたが、今回は紛れもなく小学校で指導する技の中でも最高難度の一つです。
それが「前方倒立回転跳び」です。
おそらく小学校ではこれ以上のことは跳び箱の授業では指導しないでしょう。
そんな最高難度の技にいくための段階的な指導を今回は解説したいと思います。


1 前方倒立回転跳び

そもそも前方倒立回転跳びとはどんな技なのでしょうか。
その前に跳び箱というものについて文部科学省が出している学習指導要領からお話したいと思います。

跳び箱は
「切り返し系、切り返し跳びグループ」
「回転系、回転跳びグループ」
によって構成されています。
「切り返し系」というのは、開脚跳びや閉脚跳び、抱え込み跳びなどがあります。
「回転系」というのは、台上前転、首はね跳び、頭はね跳び、前方倒立回転跳びなどがあります。
今まではどちらも解説をしてきたのですが、このように「切り返し系」や「回転系」と言葉に出したことはありませんでした。
今回解説したい「前方倒立回転跳び」は名前の中に書いてあるように「回転系」に分類されます。
この「前方倒立回転跳び」はマット運動でもある技です。、
でも、いきなり跳び箱の前方倒立回転跳びは難しくてできません。
だからやはり体育の技能は「分解」したり「段階的」に練習したりすると攻略できるのです。

2 跳び箱の分解的指導

このブログではたびたび出てきた跳び箱技能の分解的指導です。
① 助走
② 踏切
③ 着手
④ 着地
の4つの場面に分解できます。
詳しく知りたい場合は、以下のブログで確認してみてください。

 

3 跳び箱「前方倒立回転跳び」への段階的指導

小学校では最高難度と言える難しさなのでいきなり挑戦するには困難だと思います。
子どももいきなりは怖くて試技することも困難でしょう。
だからだんだんと前方倒立回転跳びにしていきます。
分解的指導はできているものとして解説します。

① 大きな台上前転

台上前転は、跳び箱の上で前転をする技です。
切り返し系とは違って、着手が比較的跳び箱の手前に着きます。
そうでないと跳び箱から落ちてしまうからです。
詳しい台上前転については以下のブログで確認してみてください。

大きな台上前転というくらいなので、大きく回ります。
ではいったいどこが大きくなるのか?
それは「膝」です。
膝を伸ばすことによって「前方倒立回転跳び」へと一歩近づきます。
① 踏切を強く踏みましょう。
② 踏切をした後の着手で腰を高く浮かせます。
③ 膝を伸ばしたまま回って着地。
普段の台上前転では、膝を曲げてしまいますが、大きな台上前転では膝は伸ばしたまま回るようにしましょう。
ちなみにマットでも跳び箱でも、子どもは「膝を伸ばす」では膝を伸ばせな場合が多くあります。
そんなときの声かけは
「太ももに力を入れる」
です。
大腿部に力を入れると膝は曲がりません。
このような声かけの工夫で子どもたちに技能を身に付けさせていきましょう。

② 首はね跳び

首はね跳びは台上前転の途中から「ぴょ~ん」と跳んで着地をする技です。
どこで跳ねるかというと「首から肩が跳び箱に着いた時」です。
首の付け根が付いたら、膝を曲げずに足を振り出すことを意識させましょう。
そう、このときに大きな台上前転の練習が活きてくるのです。
次は跳ねるタイミングです。
「首はね跳び」や次に紹介する「頭はね跳び」「前方倒立回転跳び」は振り出すときのタイミングをつかむことがポイントです。
ほんのコンマ何秒という世界でのタイミングなので、このタイミングをつかむ練習といったところです。
最後に跳び箱を手で強く突き放すことも忘れないようにしましょう。
跳ねた瞬間に腰に手を当ててあげることで、補助となりますので試してみてください。
大きな台上前転がさらに大きくなると首はね跳びへと段階が上がっていきます。
なかなかタイミングがつかめない児童には、マットを使ってゆりかごをさせます。
ゆりかごについては、以下のブログに書いてありますので参考にしてみてください。

ゆりかごのときに首と肩がマットについたら伸びるということを練習しましょう。
これをして立てればばっちりです。

③ 頭はね跳び

首はね跳びが攻略できたら、次は頭はね跳びです。
これができると前方倒立回転跳びまではもう少しです。
ちなみに子どもあるあるですが、
「先生、首はね跳びができないけど頭はね跳びができました」
ということは多々あります。
そうなんです、この2つの技は段階的には「首はね跳び」→「頭はね跳び」なのですが、やっていくと頭はね跳びの方が簡単だと感じる児童が少なくありません。
それはそれでいいと思います。
首はね跳びは頭はね跳びへのステップなので、頭はね跳びはできるけど首はね跳びができないという場合にもA評価をあげて良いでしょう。
さて、頭はね跳びはどのような技なのでしょうか。
首はね跳びと頭はね跳びとの決定的な違いは、首肩で跳ねるか、おでこ(頭)で跳ねるかの違いです。
① 踏み切り強く
② 腰を高く浮かせる
③ 膝を伸ばして回りはじめる
ここまでは、「大きな台上前転」「首はね跳び」「頭はね跳び」もすべて同じなのです。
頭はね跳びは、膝を伸ばして回り始めるときにおでこをつけて両手で跳び箱を押し出し、足を高く遠くへ振り出すのです。
これもタイミング重視なので、そのおでこと振り出しのタイミングをつかむ練習を繰り返ししましょう。
あっという間にできる子となかなかできない子には、ここに差がでる場合が多いです。
首はね跳びや頭はね跳びの場の工夫としては、高いところから低いところへの着地が有効です。
ですので、ステージから下にエバーマットを敷いて着地することを練習してみましょう。

④ 前方倒立回転跳び

ここまでくると前方倒立回転跳びの成功は目の前です。
なぜかというと、段階的にできるようになっているからです。
これが段階的指導のすごいところで、いきなり前方倒立回転跳びを指導したのでは成功までがとても困難なのですが、順を追ってやることでいつの間にかできているという魔法にかかります。
この技も途中までが同じです。
① 踏み切り強く
② 腰を高く浮かせる
③ 膝を伸ばして回りはじめる
この後に、首も頭もおでこもどこも着かずに回るのが前方倒立回転跳びです。
子どもたちは身体のどこも着かないのでちょっと怖さを感じます。
そうすることで体が「くの字」になってしまって、うまく膝を伸ばして回ることができません。
だから「おへそを突き出して!」という声かけをするとともに、腰に手を当てて、おへそを前に出せるように補助をしてあげましょう。
マットではできない前方倒立回転跳びでも実は跳び箱ではできるのです。
それは着地が回転よりも低い場所で行うからです。
だからできそうな子には積極的にやらせてみてはどうでしょうか。

4 まとめ

今回は小学校体育跳び箱で最高難度とも言える「前方倒立回転跳び」とそれに向かうための段階的指導について解説しました。
言っていることはシンプルなのです。
跳び箱は
① 助走
② 踏切
③ 着手
④ 着地
という4つの場面で技能を分解することができる。
そして前方倒立回転跳びまでの段階的指導は
① 大きな台上前転
② 首はね跳び
③ 頭はね跳び
④ 前方倒立回転跳び
という順でやっていきます。
すべての技で入りは同じです。
① 踏み切り強く
② 腰を高く浮かせる
③ 膝を伸ばして回りはじめる
までをしっかり身に付けましょう。
そして、③の後、もしくは同時に

① 台上前転では・・・回転をする
② 首はね跳びでは・・・首肩をつけて膝を曲げずに足を振り出して手で跳び箱を強く押す
③ 頭はね跳びでは・・・頭をつけて膝を曲げずに足を振り出して手で跳び箱を強く押す
④ 前方倒立回転跳びでは・・・手をついたらそのまま回る

ということの違いです。
首肩や頭をついたあとの身体を振り出すタイミングがとても難しいので、それを繰り返し練習してみましょう。


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