【器械運動:倒立前転完全攻略】連続技の最初でやればみんなの視線は釘付け!段階的指導を行えばきっとできる!補助のやり方の解説あり!

体育

以前、倒立について解説をさせていただきました。

倒立ができると高学年のマット運動の授業で実施する連続技で重宝するのです。
その連続技の中でも最初に入れたくなるのが「倒立前転」です。
多くの場面で「倒立前転」が一番最初の技に入ってきます。
某体育大学の入試の実技でも、教員採用試験の実技でも一番にやるとよく聞きます。
そんなトップバッターになりやすい「倒立前転」を今回は解説したいと思います。
最後まで読んでいただくと「バタン!」と倒れてしまう「倒立前転」ではなく、スムーズな美しい「倒立前転」になるかもしれません。


1 倒立前転

その名の通り「倒立」+「前転」です。
だから倒立ができないと「倒立前転」は成り立たないのです。
たまに「くの字」に曲がった倒立のようなものを見かけますが、これでは「倒立前転」とは言いません。
しっかりと床に対して垂直になってこそ倒立と言えます。
その倒立から前転にいければ「倒立前転」となります。
が・・・そんな簡単なものではないのでご安心ください。
誰でも簡単にできてしまう技ではありません。
まずは倒立前転攻略のために段階的指導を入れて行きたいと思います。

2 三点倒立

倒立の第一ステップとして三点倒立をやってみます。
頭・両手の三点で正三角形をつくるようにして、ゆっくり両足をあげて倒立をします。
両足を伸ばすのが難しければ、膝を曲げた状態で静止するところまでを何度も繰り返しましょう。
バランスを取るということが重要なので、そのコツをつかみましょう。
細かく確認していきます。

① 前頭部(難しければ頭頂部)をマットにつけて、頭と正三角形になるところに両手をつきます。
※ 正三角形ということを大切にしてください。
※ 肘は開かずに曲げたままです。
② 利き足でマットを軽く蹴ります。
※ すぐに倒れてしまう場合は、ゆっくり両足を引き寄せて行きましょう。
③ 脇を締めてゆっくりと腰をあげていって、頭に体重を乗せます。
※ ぐらついたら両手でバランスを取りましょう。
④ 体重が頭にうまく乗ったら、お腹とお尻に力を入れて姿勢を安定させながら徐々に膝を伸ばしていきます。
⑤ つま先が頭の真上にくるようにしてゆっくり膝を伸ばします。
⑥ 頭からつま先まで一直線になったまま静止して完成。

三点倒立が大切な第一ステップです。
一直線になるというバランス感覚をつかむためのものなのでじっくりやってみましょう。
もしも補助がつけられるのであれば、両足を引き上げる際にヒザを持って倒立姿勢まで誘導します。
グラグラせず姿勢が安定したらゆっくり膝から手を離して、三点で体重を支える感覚を覚えさせましょう。

2 壁のぼり倒立

三点倒立で体重の乗せ方とバランスの取り方がわかってきたら、第二ステップの壁のぼり倒立です。
これができるようになると、両手で体全体を支える感覚がつかめます。
最初は壁から遠い位置に手をついて、慣れてきたらだんだんと壁に近づけていくと体が一直線になります。
それでは細かく確認していきましょう。

① 壁から1歩ほど離れた位置に、壁に背を向けて立ち、両手を肩幅に開いてマットにつける。
② 片方の膝を曲げ、足裏を壁につけたら、足を上げやすいように両手の位置を調節します。
③ 壁につけた足を踏ん張りながら、もう片方の足も壁につけます。
④ 両足で1歩ずつ壁を登っていきます。
※ 目線は両手の間のマットに向けます。
⑤ 壁をのぼっていきながら、倒立姿勢になるように両手を壁に近づけていきます。
⑥ 体が一直線になって、倒立姿勢で静止できたら完成です。

壁から離れ過ぎてしまうと練習になりません。
登っていって、顔が壁につくくらいまで近づきましょう。
そうすると必然的に床と一直線になります。

3 背中を向けた壁倒立

壁のぼり倒立とは逆向きで行う倒立です。
壁倒立では、足を振り上げて頭上までもっていくコツをつかみます。
最初は振り上げた足で壁をタッチして片方ずつ足を下ろす練習をします。
最終的に両足を伸ばして静止させるなど、段階的に動作になれていくとよいでしょう。
細かく確認していきましょう。

① 左足(右足でもいい)を1歩踏み込み、壁から拳ひとつ分ほど離れた位置に両手をつきます。
② マットを見ながら、右足でマットを軽く蹴り、振り上げる。
※ マットを見るということがすごく重要です。
※ 見る位置は手と手の間、真ん中のところです。
③ 右足を頭上に大きく振り上げながら、両手に体重を乗せていって、左足も持ちあげます。
④ お腹とお尻をしっかりと締め、手と肩でバランスを取りながら、両手を壁に近づけていきます。
⑤ つま先を伸ばして、右足、左足の順番に壁につけます。
⑥ 両手から背中、つま先まで一直線に伸びたら完成です。

壁のぼり倒立と同じで、壁から離れ過ぎていると練習する意味がなくなってしまいます。
床に垂直になることを意識しましょう。

4 倒立

いよいよ倒立です。
ここまで「頭や両手に体重を乗せる」「逆立ちの状態でバランスを取る」「足を大きく頭上に振り上げる」段階的にコツをつかんできました。
もしもここまでで、できていないことがたくさんある場合には倒立はまだ難しいということになります。
よく「振り上げても振り上げても上がらなくて、倒立にならない」という声を聞きます。
足が上がらずに倒立姿勢まで行きつかないということです。
いきなりは難しいので補助倒立から実施してみましょう。
姿勢が身に付かなければ倒立成功はあり得ません。

① 両手をつく位置と踏みこむ位置を確認しましょう。
※ 踏み込む位置は大きく1歩先、そして両手をつく位置はさらにそこから大きく1歩くらいの場所です。
② 確認できたら左足を1歩踏み出しましょう。(右足でもよい。その場合は次からの説明はすべて逆足になります)
③ 肩幅に開いた両手をマットについたら、同時に右足を軽く蹴ります。
※ 強く蹴ってしまうと、いきなり倒れてしまいます。
④ 目線はマットに向けたまま右足を大きく振り上げます。
※ 両手の間の真ん中から目を離しません。
⑤ 両手の力で体重を支えながら、左足を持ち上げていきます。
※ 三点倒立で頭に体重を乗せていたのを両手に変えます。
⑥ お尻とお腹をしっかり締め、両足を頭上まで上げましょう。
※ 背骨が両肩の上に乗るようなイメージでやると安定します。
⑦ 両手から背中、つま先まで伸びたら完成です。

このときに補助を入れる場合、実施者の横に立って、②の1歩目の踏み出しで膝を持ってあげましょう。
次に上がってくる右足には補助を入れません。
あくまで1歩目を支えて倒れないようにしてあげましょう。
両足が一直線に整ったら、壁倒立で言う「壁」になってあげてしっかりと止まれるように支えてあげましょう。

5 倒立前転

倒立ができたら今度はいよいよ「倒立前転」です。
朗報です。
倒立で静止するよりも倒立前転の方が簡単のです。
倒立で静止すると2秒~3秒近く止まっていないと静止している感じがありません。
でも倒立前転は1秒静止して前転に移行しても全然違和感ないのです。
なぜかというと
「倒立の姿勢状態でだんだんと進行方向へ傾いていく」
ということがあるからです。
倒立の静止はそのままを保つのですが、倒立前転の場合は少し倒れていくイメージなのです。
「倒れちゃって大丈夫なの?」
と思うかもしれませんが、倒れないと前転に移行できないのです。
一直線の倒立で前転に入ると、グチャっと潰れた感じになります。
でも、少し進行方向に斜めになってから前転に移行するとスムーズに回転することができます。
倒立までができていると仮定して詳しく確認しましょう。

① 両手から背中、つま先まで伸びて倒立が完成
② そこから少しだけ進行方向(本当に少し)に斜めになります。
※ 斜めになり過ぎるとバタン!と倒れます。
③ 斜めになったら支えていた肘をゆっくり曲げます。
④ 肘を曲げたのと同時に床を見ていた目を、自分のおへそを見る感じにします。
※ そのまま頭を上げたまま前転に入ってしまうとおでこから床に落下してしまうからです。
⑤ 回転が始まったら背中、腰、お尻、膝と丸めていって前転を行います。

倒立ができるとこの動きはけっこう簡単にできてしまいます。
倒立が静止できないとしても補助倒立で静止できる子は倒立前転はできることが多いです。
もちろんですが、前転ができないと倒立前転も困難だと思います。

 

6 まとめ

今回は倒立前転について解説しました。
倒立前転は「倒立」+「前転」という名前の通りの技です。
これを成功させるための段階的指導は
① 三点倒立
② 壁のぼり倒立
③ 背中を向けた壁倒立
④ 倒立
⑤ 倒立前転
となっています。
これらを細かくやっていくと倒立前転にいきつきます。
倒立で静止するよりも、倒立前転をする方が技能としては簡単だと個人的には思っています。
今回は補助の仕方も書いているので、補助に入ってもらって倒立前転をやってみてはどうでしょうか?
倒立前転はいろいろな連続技の1発目を飾るのがこの倒立前転のことが多いです。
華やかな倒立前転で周囲の視線をくぎ付けにしてみませんか?
ただ、子どものうちは連続技の一つとして倒立前転をすることはあるのですが、大人になると倒立前転をすることは激減します。
でも、プールで倒立をして犬神家の一族ごっこをすることはよくあります。
小学生のときにしっかりとした倒立前転をできるようにしておくと、ネタばらしのときにスムーズに起き上がることができますので身に付けておいた方がよいと思います。
大人のほとんどが犬神家の一族ごっこをやりますので、やはり流れるプールや波のあるプールでも対応できるように筋力もしっかりと身に付けておくとさらに良いと思います。


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