クラスの子どもがケンカをするときってありますよね。
そのときに先生は仲裁に入って
「なんで俺ばっかり」
と言われたことはありませんか?
今日は、子どものケンカの仲裁に入ったときの言葉かけについて考えていきたいと思います。
1 ケンカ
大小に関わらず子どもはよくケンカをしてきます。
低学年であればあるほど、小さいケンカを日々しています。
自分の主張があるにも関わらず、相手の主張を受け入れることができないからでしょうか。
ケンカも経験すればするほど、自分たちで解決できるようになってきますが、小さい子はそうも言っていられません。
高学年になるとケンカの量自体は減るのですが、一つのケンカが大きいことがよくあります。
「せんせ~!」
と、子どもは大人に頼ってくるときにどのような心理なのでしょうか。
・自分の味方になってほしい。
・解決してほしい。
このようなことが考えられます。
そのときに先生はどのような対応をすべきでしょうか。
2 ケンカの仲裁
① とにかく聞く
とにかくたくさん話を聞いてあげましょう。
聞いていく中で、子どもの中で勝手に納得してしまって解決するパターンもあります。
そのときに
「そうなんだぁ」「そのあとは?」「それでそれで?」
とできるだけたくさんの情報を聞きましょう。
注意点は、この時点では味方になってはいけないということです。
子どもはなんとか大人を自分に引き入れようと自分の悪いことは言わないことがあります。
嘘はついていないにしても、自分が悪かったところを言わなければ、話してきた子が被害者と勘違いしてしまいがちです。
② 相手にもとにかく聞く
片方に聞いたら、もう片方にもしっかり聞きましょう。
片側だけを聞いて、相手の指導はしません。
時間がないのならば「相手に聞いてから話をするからね」と、最初に言ってきた子には伝えれば大丈夫です。
もしも自分に都合のいいことだけを言っていたのであれば、相手に聞くことを嫌がりますので、その時点で解決です。
「ただただ聞いてほしい」に含まれてきます。
ちゃんと相手の話を聞きましょう。
お互いの言い分を聞くとなんとなくケンカの全貌が見えてくる場合と全く見えない場合とがあります。
そうしたときには第三者の話を聞きます。
③ 第三者にも聞く
冷静に見ている第三者に話を聞きましょう。
でも子どもによっては、その第三者が一方に味方をする場合があるので注意です。
解決への遠回りになってしまいますので「これは聞くと話がこじれそうだな」と思ったら、聞くのをやめましょう。
「ありがとう、わかったよ」
と一言を言っておけば大丈夫です。
④ 話のすり合わせ
ここまでくると話をすり合わせることができます。
メモが必要な場合はここまでのものをメモにとっておくと説得力が増します。
時系列に取っておくことが重要でしょう。
低学年の小さいケンカはメモを取らずに終わらせることができますが、高学年の大きなトラブルになるとそうも言っていられません。
メモの重要性と必要性は大切にしていましょう。
小学生くらいだと、話を聞いてお互いに謝れば解決することがほとんどです。
このときの声かけで
「なんで俺だけ・・・」
が極端に減ります。
それは
「事実のみを謝らせる」
ということです。
子どもの言い分のほとんどは
「相手が先にやってきたからやり返した」
「先に悪口を言われた」
などがとてもよくあるケンカです。
このときには
「先がどちらかは見ていなかったからわからない。でも先にやっていないかもしれないけど叩いたんだよね?先にやってないかもしれないけど悪口を言ったんだよね?」
と事実のみに着目させましょう。
正直、先に仕掛けた方は悪いとは思いますが、お互いの勘違いから始まるケンカが多い小学生では、先を決めるのは困難です。
まして見ていない状況では有力な第三者がいないのならばなおさらです。
だから「先にやってないかもしれないけれど」
の一言を添えて、やったことだけの謝罪をさせましょう。
「叩いたことだけは悪いよね?だからそのことだけは謝ろう。」
「悪口を言ったことだけは悪いね?だからそのことだけは謝ろう」
というと納得して謝ります。
「相手に謝ろう」
だと、自分は悪く部分まで謝らされたと思い込んでしまいます。
だから
「なんで俺だけ」
というセリフが出てしまうのです。
子どもには
「相手が悪いのに自分が謝らされた」
ではいけません。
「自分のやったことのこれだけは悪かった」
という意識に変えていけると、小学生の仲裁はうまくいきます。
そして、自分たちで解決できるようになってきます。
子どもたちは基本的に知らないことだらけで学校に来ています。
だから「謝り方」「ケンカの終わらせ方」「話し合い方」などは知りません。
「ケンカくらい自分たちで解決しなさい」
「先生が1~10まで解決させてあげるからね」
では、本当の解決方法は身についていません。
仲裁すると共に、自分たちでの解決方法も教えてあげましょう。
そして大切な考え方として
「正義の反対は正義」
ということも教えてあげましょう。
自分が正しいから自分が正義で、自分と違ったことを言っているから相手が悪と思っている子も、思っている大人もたくさんいます。
でも自分が正しいことを言っていると共に、相手も同じように考えています。
自分だけが正しいことを言っていると思っている子は、そういう大人になってしまうので今のうちに正してあげる必要があります。
3 まとめ
子どもは大小に関わらずケンカばかりしてきます。
仲裁しようにも、上手く入ってあげられないとこじれる場合がありますし
「なんで俺だけ」
という子どもを作ってしまいます。
そうならないために双方の話を個別によく聞きましょう。
そして第三者の意見も聞いて中立の立場に人がいるようにしましょう。
どちらかに味方についてしまいそうだったら「ありがとう、もう大丈夫」などで聞き込みを終わりにしましょう。
すり合わせをしっかりしましょう。
「先がどちらかは見ていなかったからわからない。でも先にやっていないかもしれないけど叩いたんだよね?先にやってないかもしれないけど悪口を言ったんだよね?」
「叩いたことだけは悪いよね?だからそのことだけは謝ろう。」
「悪口を言ったことだけは悪いね?だからそのことだけは謝ろう」
と事実に対してのみ謝罪させましょう。
子どもは学校に知らない勉強を教わりに来ていると共に、ケンカの仲直りのしかたも、椅子の座り方も、コミュニケーションの仕方もみんな習いにきています。
だから仲直りの仕方も教えなければ一生できません。
「そんなの知っているでしょ?」は大人の怠慢です。
教わっていないものはできないので、ちゃんと教えてあげましょう。
そして、ケンカの仲裁のときには「正義の反対は正義」という視点をちゃんともたせないと、わがままな大人に育ってしまいますので、しっかりと教えてあげることが大切です。
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