新体力テストは文部科学省が定めた、国民の運動能力を調査するために実施する「体力・運動能力調査」の通称です。
学校現場では、毎年当たり前のように行っていますが、記録を伸ばすためのコツやポイントがあることは否めません。
今回は新体力テストの記録を伸ばすためのコツやポイントを考えていきたいと思います。
1 新体力テスト実施上の留意点
○実施方法などについて教員間で共通理解を図り、測定者や測定方法、測定器具による誤差が生じないようにする。
○テストの実施場所は、整備に万全の注意を払い、児童生徒にとって安全でかつ全力で行える環境を整える。
○実施方法について、児童生徒に十分理解させ、定められたとおり正確に測定できるようにする。
○年齢に応じた記録や得点を示すなど、児童生徒が意欲をもって取り組むことができるよう事前の指導を工夫する。
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2 8種目のポイント
① 握力
握力が高まると
・鉄棒やうんていなどで難しい技ができるようになります。
・ボールを力強く遠くまで投げることができるようになります。
・重たい荷物も楽に持てるようになります。
【測定時のポイント】
・右手の測定のときには、まず左手を「ギュっ」と握ってから右手を握ると力が出ます。
・「ギュ―」と言いながら右手を力強く握り測定しましょう。
【数値が低かった子への指導】
休み時間に鉄棒やのぼり棒、うんていなどで、友達と新しい技を考えさせたり、競い合わせたりするなど、遊具遊びの楽しさを見つけさせていきましょう。
② 上体起こし
上体起こしの力が高まると
・体の軸がぶれずに、まっすぐ力強く走ることができたり、跳んだりすることができるようになります。
・逆立ちなどを行うときに、バランスがとりやすくなります。
【測定のポイント】
・測定者ではなく、押さえる側の人に両手で足をがっちり押さえてもらいましょう。
・天井を見ながら起き上がるのではなく、おへそを見ながら起き上がるようにしましょう。
・肘が太ももにつくまでです。
・背中を丸めると起きやすいです。
※目標回数を決めておくと記録が伸びます。
※おへそに力を入れる感じです。
【数値が低かった子への指導】
マット運動などで、背中を丸めた「ゆりかご」など、腹筋を使って起き上がる運動をたくさん経験させましょう。
③ 長座体前屈
長座体前屈の力(柔軟性)が高まると
・たくさんの運動やスポーツをしても疲れにくくなります。
・運動やスポーツをしているときに筋肉などを痛めるけがを起こす可能性が少なくなります。
【測定のポイント】
・床にお尻、壁に背中をしっかりつけて90度になりましょう。
・測定器に手を乗せるときには方も壁につけておきましょう。
・息を「ふぅ~」と吐きながら上体を倒します。
・上体を倒しているときには頭をあげないようにします。
・つま先もあげないようにします。
※待っている間もしっかり柔軟体操をしておきましょう。
【数値が低かった子への指導】
・走った後やお風呂上がりなど、筋肉が温まったときに、ゆっくりとした「ストレッチ運動」を継続的に行うことをすすめましょう。
④ 反復横とび
反復横とびの力(敏捷性)が高まると
・運動やスポーツのいろいろな場面で、特にサッカーやバスケットボール、バレーボールなどの攻守にわたって、素早く動けるようになります。
・タイミングよくリズミカルに動けるようになります。
【測定のポイント】
・ラインは触れるだけでも大丈夫です。
・跳びはねると時間がかかるので頭の位置を変えないようにしましょう。
・軸を中心の線に向けて行いましょう。
【数値が低かった子への指導】
・鬼ごっこなど、細かいステップを踏まなければならない運動を行わせましょう。
⑤ 20mシャトルラン
20mシャトルランの力(持久力)が高まると
・たくさんの運動やスポーツを行っても疲れにくくなります。
・マラソンやバスケットボール、サッカーなどではきつくなったときに、もうひと踏ん張りできるようになります。
【測定のポイント】
・最初のうち、ゆっくりのときは、音楽のリズムに合わせて同じペースでやりましょう。
※ペースを上げてはやめについて止まっていると筋肉への負担が大きくなります。
・ラインは踏むだけでも大丈夫です。
・電子音の「ボーン」のスタートで走り始めます。
・スピードが上がってきたら、折り返してすぐにスピードアップでその後はゆっくりです。
【数値が低かった子への指導】
サッカーやバスケットボールなどで、長く走り続ける運動の楽しさを味わえるようにするとともに、持久走ではややきついくらいのペースが持続できるように指導を工夫していきましょう。
⑥ 50m走
50m走の力(走力)が高まると
・一瞬の動きのスピードが上がり、サッカーやバスケットボールなどで、相手を抜き去ることができやすくなります。
・走り幅跳びや走り高跳びで、高く、遠くに跳べるようになります。
【測定のポイント】
・前かがみでスタートを切りましょう。
・腕は伸ばさずに素早く振ります。
・ゴールの先まで全力で走り切りましょう。
【数値が低かった子への指導】
まっすぐ走ることが苦手な子どもには、直線のラインの上を走らせたり、ゴールの延長線上の目標物を目印に走らせたりする経験を積ませていきましょう。
また、休み時間などでは、全力で走ることが必要な鬼ごっこなどをやってみましょう。
⑦ 立ち幅跳び
立ち幅跳びの力(跳躍力)が高まると
・いろいろなスポーツで、ダイナミックな動きができるようになります。
・より高く、より遠くに跳べるようになります。
・なわとびの難しい技ができるようになります。
【測定のポイント】
・腕を大きく振って、深くしゃがんで、膝を胸につけて跳びましょう。
※腕ふりとジャンプのタイミングを合わせます。
・斜め45度に跳びます。
・後ろに倒れてしまうとそこが記録になってしまうので、絶対に後ろに倒れないようにしましょう。
【数値が低かった子への指導】
上半身と下半身の連動性がうまくいっていないことが考えられるので、とび箱運動やなわとびなどで十分に経験を積ませることが必要です。
⑧ ソフトボール投げ
ソフトボール投げの力(投げる力)が高まると
・ベースボール型やゴール型などの「投げる」スポーツはもちろんのこと、ネット型でも腕ふりが速くなり、サーブやスパイク、スマッシュなどのスピードが高まります。
【測定のポイント】
・助走は後ろギリギリからとります。
・肘を大きく引いて振りかぶります。
・斜め上に向かって腕の振りを素早くしましょう。
・右手で投げる人は左足を前にして、つま先が投げる方向に向くようにしましょう。
【数値が低かった子への指導】
・ダイナミックに「投げる」場づくりを行った運動遊びの学習や休み時間のボール遊びなどをたくさん経験させられるようにしましょう。
以上が新体力テストの記録を伸ばすための測定のコツやポイントでした。
新体力テストは1発勝負ではありません。
何度か練習することで、自信を持って子どもたちは取り組むことができます。
学校全体で記録の底上げを図ってみてはどうでしょうか。
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