運動はどれくらいやったら気持ちいいと思えるのかって考えたことはありませんか?
「きついからいつまで経っても気持ちよくならないよ」とか「楽しくなんかならないよ」とか思うかもしれません。
今回はどのくらいの時間を運動に費やすと快感を味わうのかについて解説したいと思います。
1 運動で「きもちいい」を味わうには30分以上が適している
準備運動をあまりしないで走りだし、ジョギングやランニングを行っていると息苦しく苦痛を味わうときがありませんか?
それはジョギングに限らずその他スポーツ(バスケットボールやサッカー等)でも起こりうることです。
この息苦しい状態を「デッドポイント」と言います。
しかし、このデッドポイントは長くは続きません。
人にもよりますが、5分~10分くらいで息苦しさが解消されるということが多いです。
運動に対して好意的でない人の大半は、このデッドポイントを味わってしまうから、運動は苦しい、運動は辛い、運動は楽しくないと思ってしますのです。
でも必ずそのデッドポイントは終わります。
その後、苦痛がとれると気分が良くなり、心地よく走ることができる状態がやってきます。
これが「セカンドウィンド」という状態になります。
セカンドウィンドは呼吸・循環機能が十分に働きだして、体の機能がその運動に適応しはじめたことを示してくれます。
さらに運動を20分~30分続けていると、とても気持ち良い状態になるときを経験したことがある人もいると思います。
ぼんやりとして心地よくなるのを味わえるのは20分~30分と言われています。
ただ、心地よく走れるようになったからといって、スピードを上げていくと、気持ちいい状態というのを味わうことができずに、かえって苦しいものとなってしまいます。
このぼんやりと気持ちいい状態は「ランナーズ・ハイ」と呼ばれています。
2 ランナーズ・ハイを味わうための運動
さて、ランナーズ・ハイを味わうためにはどれくらいの運動が必要だと思いますか?
アメリカのD.B.Carrによれば、
ランニング、自転車エルゴメーターや体操による実験的運動を1日に1時間ほど行わせた場合、8週間(2か月)ほどで、ランナーズ。ハイに見舞われるようになった
ということです。
ただ、毎日1時間というのは難しいのでランナーズ・ハイの状態になるには週2~3日で行っていくおよそ半年くらいかかると考えた方が良さそうです。
運動をしていくと、脳の機能が高まります。
そうすると脳からβエンドルフィンというたんぱく質が分泌されます。
運動をすることで脳内に生産されるβエンドルフィンという物質は鎮痛効果を引き起こす特殊な神経細胞に働いて爽快さを感じさせると考えられています。
運動をしているとき、少しの怪我なら大して痛みを感じないとか、筋肉痛の後に運動をしたら痛みを感じなくなるとか、陶酔状態になるとか、運動後に爽快感を味わうとか、定期的に運動をしないと落ち着かないとかはβエンドルフィンの働きによるものであると説明ができます。
5分~10分経つとセカンドウィンドがやってきて、心地よくなりはじめます。
中等度の運動を続けていくと20分~30分のあたりで脳にβエンドルフィンの分泌も高まり気持ちよく感じるわけです。
そのため、気持ちよく運動をするには30分程度が必要と言えます。
3 運動をしすぎてしまった場合の弊害
ウィリアム・モーガンという学者は、週100~150km、1日平均15~20kmを走破するような人は、ジョギングができないと、うつ症状や不眠、食欲減退などの禁断症状をあらわし、薬物中毒にも似たようなジョギング中毒に陥る人が多くいると指摘しています。
ジョギングやランニング、運動を規則正しく50~60分行っていると、ランナーズ・ハイの状態になります。
この状態にはβエンドルフィンが関わっていると記述しましたが、これはモルヒネのような働きをしているのも事実です。
それはそうです、ランナーズ・ハイは陶酔状態でなんともいえない心地よさなのですから、モルヒネという例えになってもおかしくありません。
ジョギング中毒になると、少しの痛み、炎症、骨折ならば、鎮痛剤の注射を打ってでも走るなど、体に無理をしても大丈夫になります。
日本体育協会スポーツ科学委員会は、
「距離15km、時間1時間半、速さ1kmを4分台」の条件よりも距離を伸ばしたり、スピードを上げたりする走り方を毎日トレーニングしていると1、2年で故障をしてしまうことを警告しています。
運動のしすぎで故障を起こさないためには
「分速250m以下、距離は3~10km、週3回くらい」
が、健康や体力作り適していると話している。
4 まとめ
① 運動をして気持ちよくなるには30分くらいは必要
運動してすぐにデッドポイント(苦しいという状態)→5~10分でセカンドウィンド(呼吸や)→20~30分でランナーズ・ハイ
② ランナーズ・ハイは脳から分泌されるβエンドルフィンの働きによって起きている。
痛みを感じなかったり、運動に爽快感を覚えたり、運動をやめられなくなるのは、みんなβエンドルフィンの働きによって。
③運動のしすぎには弊害がある
運動しすぎる「例)週100km走って、1日平均15kmを走破するような人はジョギング中毒になりやすい。
「分速250m以下、距離は3~10km、週3回くらい」を目安にやってみましょう。
ジョギング中毒になってしまうと、故障しても鎮痛剤を打って運動に取り組もうとしてしまうので、注意が必要。
以上のことを踏まえて、自分のペースで30分程度走って、ランナーズ・ハイの状態を味わってみませんか?
きっと苦痛よりも楽しさ、心地よさ、達成感が得られるはずです。
ランナーズが不安だったら、ウォーキングでやってみてはどうでしょう。
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