とび箱の抱え込み跳びは、子どもたちにとって超えなければいけない壁の一つです。
脚を閉じて跳ぶという技能は、脚を開いて跳ぶのとは比べものにならないくらい恐怖を感じます。
開脚跳びをクリアして次なる目標の一つとして抱え込み跳びに挑戦してみるのも良いと思います。
今回は、抱え込み跳びの段階的な指導と場の作り方を解説したいと思います。
最後まで読んでいただくと、とび箱を跳ぶときには足を閉じずにはいられなくなっているかもしれません。
1 抱え込み跳びの分解的な指導
抱え込み跳びは閉脚跳びとも言い、脚を閉じて跳ぶという方法です。
この閉じるという部分に恐怖心が生まれ、跳ぶことを困難としています。
ではどこに恐怖があるのか?
それは
「閉じた脚がとび箱に当たって、顔面から落下しないだろうか・・・?!」
というのが圧倒的に多い怖さです。
この場面に怖さがなくなれば比較的跳べるという理屈なのですが、それがどうしてもうまくいかないのが体育の授業です。
では段階的な指導をどのように組んでいくのがいいのかというお話をしたいと思います。
そもそも跳び箱の技能は
② 踏切
③ 着手
④ 着地
の4つの場面に区切られます。
このように技能を分解して子どもに指導することを本ブログでは「分解的指導」と呼んでいます。
この分解的な指導をできれば抱え込み跳び攻略も見えてきます。
そして、それぞれをしっかりと身に付けることができればあっという間に、抱え込み跳びであっても跳ぶことができます。
2 分解的な指導「助走」
助走は、あまり長くならないことをおすすめします。
体操競技の跳馬とは違うので、長い助走は必要ありません。
体育で行う跳び箱運動では、開脚跳びや抱え込み跳びでは長い助走は恐怖心を増幅してしまい、かえって技能習得の妨げになってしまいます。
助走をすればするほど、スピードが出てしまい、前に進む力をもらいすぎてしまいます。
前に進む力が強ければ、苦手な子は前に吹っ飛びます。
開脚跳びでも台上前転でもなんでも、体育でやる技能に関してはほとんど助走なしで跳べてしまいます。
助走が必要だとすると、比較的跳馬に近い技になる前方倒立回転跳びなどのとび箱の上で回転する技くらいです。
助走を取りすぎて、前に吹っ飛ぶと恐怖心が増幅し、とび箱への苦手意識を強めてしまいます。
1歩助走、3歩助走という風になるべく短い助走から跳ぶようにしましょう。
1歩助走であれば片足で立って、そのままロイター板に両足で強く踏むということを繰り返しましょう。
3 分解的な指導「踏切」
踏切はロイター板に、両足で強く踏むことを意識させましょう。
強く踏むことによって、前ではなく上に力をもらうことができます。
少ない助走で前に小さな力をもらい、強い踏切で上に大きな力をもらうことが重要です。
4 分解的な指導「着手」
手はとび箱の前につくようにしましょう。
とび箱の半分よりも前です。
助走でもらった前方向への力は、前に手をつくことに使います。
そもそもとび箱が跳び越えられない子は、この着手部分に一番の課題があります。
前に倒れることが怖いので、ブレーキをかけてしまいます。
とび箱が跳べない子は着手した手よりも肩を前に出すことで跳ぶことができるのに、ブレーキをかけて肩が前に出ないようにしてしまうのです。
このような子どもの姿を見たことがありませんか?
この肩を手よりも前にしてあげることこそが、とび箱クリアの鍵と言っても過言ではありません。
そのため、とび箱着手の前段階として床でうさぎ跳びを繰り返しして、肩を前にする練習をするのもいいし、同じようにうさぎ跳びでマットを跳び越えるという練習をしても良いと思います。
低ければ低いほど落下の危険性が減るので子どもたちは怖がらずに実践することができます。
また、いきなり跳ぶことはかなり難しいので着手の後には、そのまま跳び乗らせましょう。
このときに足の裏をちゃんと跳び箱について乗るということを意識させてください。
正座のようにして乗っていては一生できません。
5 分解的な指導「着地」
ここまでくればできたも同然です。
なぜなら着地をしっかりしない子はほとんどいないからです。
ただ、子どもたちに伝えておかなければいけないのは、両足で膝を曲げて着地するということを意識させることです。
6 抱え込み跳びのための場
腰を高く上げる場
1段とか2段という低い跳び箱を準備して、着手後に腰が上がるような場を準備してあげましょう。
跳び箱の数が足りなければロールマットを準備するのでも大丈夫です。
ゴムひもを用いた場
2台の跳び箱を準備してゴムを張って間を通るという場です。
ゴムに引っかかっても倒れるということはないので恐怖心を取り除きながら練習ができます。
跳び箱を横
脚を抜くという練習のための場です。
ただ、横でできるようになったからと言って縦で跳べるようになるとは限らないので、あまり繰り返しの練習はおすすめしません。
7 トレーニングマスク
今ではコロナ禍なので、体育の授業をするときにもマスクをして授業を受けます。
運動量が増えれば増えるほどマスクをすることによって苦しさを感じてしまいます。
そんなときにおすすめなのが「ランナーマスク」です。
創業110余年の老舗サポーターメーカーが作るランニング向けマスクです。
こども用も含む3サイズ展開なので、あらゆる年齢層に合わせて使用できます。
体育の授業時はもちろん、呼吸しやすく、声も通りやすいので教室の授業でも安心して活用できます。
私自身もランニング中につけて走るのですが、苦しさがないのでご紹介させていただきます。
また、ランニングだけでなく普段使いでも呼吸がラクなのでおすすめです。
2.前面内側メッシュで通気性抜群
3.ムレにくい快適仕様
4.特殊フィルターで飛沫拡散を防止
5.使って洗える優れた速乾性
6.UVカットでお肌を守る
7.リフレクターロゴがあり、ナイトランに最適
8.安心な国内生産
8 まとめ
抱え込み跳びは小学生のとび箱技能でも難易度の高い方です。
分解的に指導をしてクリアしていきましょう。
① 助走
長い距離の助走は前方向への力をもらいすぎて、恐怖心を増幅させるだけなので1歩~3歩がおすすめです。
② 踏切
ロイター板に両足で力強く乗りましょう。
腰を上に上げるイメージです。
③ 着手
とび箱の前に手をつきます。
両手を平行につきましょう。
④ 着地
膝を曲げて両足着地。
分解的な指導ができるように、腰を上げる場、ゴムひもを使った場、跳び箱を横にした場を準備して、子どもたちに技能を身につけさせてあげてください。
ただ、大人になると抱え込み跳びをする機会は激減します。
でも、道を歩いているとカバが突進してくることはよくあることです。
そんなカバの突進を避ける術は、ほかでもなく抱え込み跳び以外にはありません。
カバの体長は4mほどで、体重は1.5トン近くあり、時速30~50kmで走って来られるとまさに自動車です。
その巨体を避けるために小学生のうちから抱え込み跳びをしっかり跳べるようにしておくと良いと思います。
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