運動量と質を確保した走り幅跳び授業!ひと工夫で得意不得意に関係なく楽しみながら距離を伸ばせる!

体育

体育の授業はみんなが楽しくなければいけません。
かといって運動量が落ちてもいけません。
体育が得意な子にとっては、どんな内容であろうがやりたいし、苦手な子にとっては工夫をしてあげなければやりたいとは思いません。
まして得意な子だけが評価される体育をしていると、苦手を通り越して体育嫌いになります。
走り幅跳びは、ただ跳ばせては記録を計っているだけという授業がよく行われます。
それではやる子はやるし、やらない子はやりません。
そしてどんどん技能差が生まれてきます。
今回は誰もが楽しみながら技能や思考力を身に付けるための走り幅跳び授業を提案したいと思います。
最後まで読んでいただくと、終わった頃には世界記録を目指している可能性があります。

1 みんなで世界記録に挑戦!8m95cm走り幅跳び!

文部科学省から出ている学習指導要領の中には

「走り幅跳びでは、その行い方を理解するとともに、試技の回数や踏切ゾーンの設置などのルールを決めて競争したり、自己の記録の伸びや目標とする記録の達成を目指したりしながら、リズミカルな助走から力強く踏み切って跳ぶことができるようにすること」

出典:文部科学省より学習指導要領

と書かれています。(5,6年生)

 

さて、それを踏まえて走り幅跳びの世界記録ってご存じですか?
それは8m85cmです。
もちろんですが、これをたった一人で更新できるわけがありません。
それができたら世界一ですから。
でも、グループで更新を目指したらどうでしょう。
子どもというのは、これって超えられるのかな?超えられないのかな?というぎりぎりのところが結構好きです。
簡単すぎればモチベーションは下がるし、難しすぎてもモチベーションは下がります。
このできるのかできないのかわからないという8m95cmというのがとても目標としては魅力的です。
これをグループで超えてみようという明確な目標ができたときに、子ども達はキラキラした目をします。
そもそも走り幅跳びというのは個人種目です。
個人で練習をして最終的に記録測定をする。
それも授業としては必要ですし、やらなければいけないと思っています。
ですが、個人種目を集団種目にすると、話し合いやコミュニケーションが生まれます。
そうすると、個人種目では取りにくい「思考力・判断力」を見とることができます。
また、遠くへ飛ぶことだけが目標となっている走り幅跳びに、チーム力が加わったことによって、体育が苦手だと思う子も、自分のためだけではなく仲間のために跳ぶという意識ももてるようになります。

2 チーム分け

学年の実態にもよると思います。
高学年だと本当に跳べる子で5m跳びます。
ですが、平均していくと3mくらい。
そうなると3人チームが望ましいです。
2人だとが1人が5m近く跳ばなければならないので、やはり3人がおすすめです。

中学年だと平均で2mだとすると4人が望ましいです。
2×4=8ですが、練習次第で8m95cmというのは超えられない記録ではないことに気づくはずです。

3 場づくり

走り幅跳びをするので、ちゃんと砂を柔らかくした砂場を準備しましょう。
でも一度にたくさんの子ども達を跳ばせるというのは縄文時代からの課題となっています。
そこで、チームに1本ずつ世界記録と同じ8m95cmの紐を渡してしまえば、どこででも練習をすることができます。
渡したからといって固い場所で練習するのはおすすめできませんが、話し合いの道具としては十分に使えるものでしょう。
文部科学省の学習指導要領にも書かれているように走り幅跳びで身に付けるべきは、遠くに跳べる力ではなく、
「リズミカルな助走」
「力強く踏み切る」
ということです。
この2点を身に付けるための場を用意することが重要です。
例えば、リズミカルな助走とは学習指導要領には7~9歩と書かれていますので、ケンステップやフラフープを7~9個並べた場を作るのも一つの手です。
校庭にそれらを並べておくだけで授業の場としては上出来です。
また、幅30~40cm程度の踏切ゾーンで力強く踏み切るということも書かれていますので、白線を引いて踏切が見えるようにするというのが大切です。
何もなく紐を渡して「跳んでみなさい」では遠くに跳ぶことはできませんので、斜め前に向かって跳んでいけるようにゴムを張ってみることも良いでしょう。
学習指導要領には「遠くに跳びましょう」とは明記されておらず、「目標とする記録」となっています。
この目標が8m95cmとなっています。
もちろん個人としての目標も授業の構成上取らなくてはいけないので最初と終わりにとっておきましょう。
この8m95cmはあくまで、個人の技能を伸ばすための手段であるということを理解しておいてください。

4 子どもの話し合い

子ども達はチームになった途端、話し合いをはじめます。
「なんでそれしか跳べないんだよ」
「〇〇のせいで世界記録を超えない」
などの話し合いをしているうちは目標は達成されたとは言えません。

「どうしたら超えられるのか」
「順番はどうしたらいいんだ?」
「もっと踏切を強くした方がいい」
「跳びだすときに腕をつかった方がいいよ」

など、1人1人を伸ばすための話し合いになったら授業成功です。
思考力も取ることができます。
もしも8m95cmを簡単にクリアしてしまったら、「どれだけ更新できるのか」という新たな目標を決めてあげてもいいと思います。
チームで切磋琢磨することに、分ける意味があります。
先生が、一人では伸ばしきれないところを話し合いによって気づかせてあげたり、仲間でやりきろうという意識をもたせてあげることができます。

5 まとめ

① 体育の授業では楽しみながらいつのまにか身に付いていたというのが子どもにとって良いことなのです。
② 走り幅跳びでは、8m95cmという世界記録と同じ長さの紐を渡して、チーム全員の記録を足して世界記録更新を目指します。
そのためには各技能を身に付けるための場を用意したり、先生が的確な言葉がけで児童に伝えておく必要があります。
③ 的確な言葉は、チームになったときに子ども達の言葉となり、先生に変わって子ども達が子ども達の先生となってくれます。
話し合いをたくさんさせて、楽しい走り幅跳びを身につけさせてください。
ただ、8m95cmという走り幅跳び世界記録が難しいと思ったときには、日本人にとってもはやテレサテンの次に有名な外国の方と言えば、スワミ・バンダラサナジさんです。
サナジさんの髪の毛なら7m93cmなので、なんとか跳び越えられるかもしれませんので、工夫しながら授業をしてもらえると良いと思います。
今後も体育の単元や授業の具体的なプログラムの提案を載せていきます。
ぜひご覧ください。

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