体育の授業で運動量を確保していますか?
考える時間や相談する時間、説明を聞く時間はもちろん大切ですが、それが多くても技能は身につきません。
プールサイドでクロールの泳ぎ方について5時間考えていても、おそらく泳げるようにはならないでしょう。
水の中に入ってたくさん練習して身につくものなのだと思います。
ですが、運動量を確保した授業ってできるようでできないとよく耳にします。
今回は、そのような運動量を確保する授業を展開するためにはどうしたら良いのかを解説したいと思います。
1 準備片付けの時間
体育の授業は準備片付けも含めて体育の授業です。
体育は生徒指導も含むことも多々あるので、整列や準備片付けに対してもしっかり指導ができると子どもたちは授業以外でも行動面で良い効果が表れます。
その準備片付けをどのようにしますか?
例えば跳び箱やマット運動の授業をするとき準備片付けにどれくらいの時間がかかるでしょうか。
「たくさんの器具を準備するから準備時間は8分~10分くらい」
ということはありませんか?
小学校の授業時間は45分が主流です。
その中の準備に10分をかけてしまったら、残りは35分。
片付けに8分かけたとして27分。
準備体操が5分だったとしても22分。
22分も動ければ十分と思っていませんか?
この中には説明の時間が全く含まれていません。
そうなると実質、子どもが動く時間は15分程度。
15分では身につくはずの技能も身につきません。
準備は5分以内と決めましょう。
体育館中に跳び箱を8台準備したとしても低学年は5分で準備できます。
別に特殊な訓練を積んだ子どもではなく、普通の子どもです。
子どもたちの意識の中に準備片付けに時間をかけてはいけないというものがなければ、どれだけでも時間をかけます。
準備時間は5分と伝え、意識させましょう。
もちろんオリエンテーションの時間に初めて準備するのに5分は難しいです。
しっかりとオリエンテーションの時間に準備の仕方を説明してあげましょう。
そのときにホワイトボード等に記入して、何をどこに準備するのかを明確にしてあげると素早い準備へとつながります。
また、誰かがやればいいやとならないように、全員に役割を与え、準備片付けに取り組ませましょう。体育館にホワイトボードが常備されていないこともあります。
そういうときにはA3ホワイトボードを準備しておくと「めあて」を書いたり「準備」を書いたり「場の説明」を書いたりすることができます。
複数のA3ホワイトボードがあれば、球技などの各グループの作戦ボードとしても使えます。
MXWH?A3 ホワイトボードMX A3 1枚(1枚)【イージャパンモール】
準備が5分でできれば、片付けは3分でできます。
2 説明は短く
次に運動量を確保するためにできることは先生の説明を短くすることです。
できるだけ簡潔に話すということがポイントです。
もともと子どもは長く話しても頭に入りません。
まして、これから体を動かすというわくわくがある中で「待て」の状態では長い話が入っていくはずがありません。
30秒以内に話すということを目標に計画を立てましょう。
そのためにはやはりホワイトボードが必要です。
視覚的に出すことで、耳と目の両方から情報を入れることができます。
人間は特に視覚に頼る傾向にあります。子どももその傾向はとても強く、説明は眼から入れてあげましょう。
そこで短い説明にも対応できます。
短い説明と聞いて
「ゲームのルールがそんな短く話せないよ!」
と思いませんでしたか?
そうなんです、難しいルールを説明するのに30秒なんて短すぎるし、1分だってできないかもしれません。
バスケットボールやソフトバレーボールのルールややり方の説明を30秒でするなんて不可能に近いです。
ということはです、難しくないルールだったらどうですか?
実は体育の授業というのは文部科学省の出している学習指導要領には
「バスケットボールを教えなさい」
「バレーボールを教えなさい」
とは書かれていないんです。
では、どのように書かれているのかというと、バスケットボールであれば「ゴール型ゲーム」、バレーボールであれば「ネット型ゲーム」という風に書かれています。
ゴール型を教えさえすればバスケットボールにこだわる必要は全くありません。
ネット型を教えさえすればバレーボールにこだわる必要も全くありません。
ですので、それらを教えるためにルールを簡単にしたゲームを考えてしまえばよいのです。
バスケットボールにこだわるから難しいんです。
もっと簡単に説明できて、もっと簡単に伝わるゲームを考えればいいんです。
そうすれば説明は短くなり、運動量は確保できます。
3 場を多く
運動の場を多くしましょう。
マット運動をしているときに、クラスが30人いて、マットが4枚しか出ていない。
そうなると単純に考えて1つのマットに7人はいるということです。
でもそんなこといってもマットが4枚しかないんだから・・・。
そうしたら、身につけたい技能を分析し、マットを使わずに練習になる場を用意すればいいんです。
マット運動だからってマットしか使ってはいけないというルールはありません。
たくさんの場を準備して、子どもたちを分散させることで、運動量の確保につながっていきます。
4 まとめ
運動量の確保というのは体育の授業において最重要項目の一つでもあります。
そのためには意図的に時間を増やしていかないと、運動量は減る一方です。
1 準備片付けを素早くする
準備は5分、片付けは3分を目指しましょう。
2 説明を短くする
ホワイトボードを使って視覚的に説明しましょう。
説明時間は30秒を目標にしましょう。
難しいルールのせいで説明時間が伸びるのなら、ルールを簡単にして伝わりやすくしましょう。
3 場を多く
運動の場を多くすることで運動量が確保されます。
極端を言えば一人一つの場が用意されれば理想的です。
運動技能をしっかり分析し、その技能を身に付ける場を用意してあげましょう。
以上が、運動量確保のための具体例です。
子どもたちは、運動なくして技能は身につきません。
身体を動かす時間をたくさんとってあげましょう。
授業をしていてもあまりに動かない子を見つけたら、それはオオシャコガイの可能性があります。貝の割にあまりにも大きいのでほぼ動きません。
流れてくるプランクトンとそこにさしてくる光しか食べません。
ただ、そんな食事量ですと、普通の人間では餓死レベルの量ですが、動かないので大丈夫です。
でもオオシャコガイの運動量を増やすためにも、準備と片付けは急いでしましょう。
そして、説明を短くしましょう。
さらに、場を多くしましょう。
そうすればオオシャコガイもダイエットに成功してシジミになれるかもしれません。
もしもクラスにシジミを目指しているオオシャコガイがいたら、今回のブログがきっと参考になると思います。
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