体育の評価と聞くと
「足が速い子がAでしょ」
「シュートをたくさん決めた子がAでしょ」
「難しい技ができる子がAでしょ」
と思うでしょうか。
あながち間違えではありませんが、それだけでは不十分です。
その評価をしているとたくさんの体育嫌い、運動嫌いを生み出すことになります。
体育の授業の理想は「得意だから楽しい」「苦手だけど楽しい」です。
これらの授業を作り上げていくためにはやはりしっかりした評価が必要です。
子どもは評価が低いとやる気をなくしてしまうからです。
今回は体育授業での評価の仕方について考えていきたいと思います。
「5、6年生の器械運動編」ということでお願いいたします。
1 高学年 器械運動の評価規準例
次の運動の行い方を理解しているとともに、その技を身につけている。
① マット運動
・マット運動では、回転系や巧技系の基本的な技を安定して行ったり、その発展技を行ったり、それらを繰り返したり組み合わせたりしている。
マット運動での回転系と言うと「前転」「後転」「倒立前転」「倒立回転跳び」などを指します。
もちろん開脚前転や開脚後転もそうです。
巧技系では「倒立」「片足平均立ち」などです。
これらの技をどれだけ安定的に行うかということが高学年の評価規準となります。
前転を実施したときに手をついて起き上がったり、後転をしたときに斜めにずれて回ったりしたのでは「安定した」ということにはなりません。
また、発展技として「倒立回転跳び」「側転」などをできるかどうかということも評価の対象になるでしょう。
難しい技ができればA評価というのがあながち間違えではないというのは、難しい技ができる子は、前転などの基礎的な技も安定的にできるからです。
前転が上手にできないのに、倒立回転跳びが上手にできるということは考えにくいのでです。
そういった点を考えるとマット運動においては、難しい技ができる=A評価になりやすいと言えるでしょう。
② 鉄棒運動
・鉄棒運動では、支持系の基本的な技を安定して行ったり、その発展技を行ったり、それらを繰り返したり組み合わせたりしている。
支持系と言えば「前方支持回転」「後方支持回転」が思い浮かぶと思います。
それに加えて「足かけ前転」「足かけ後転」「前方抱え込み回り」「後方抱え込み回り」などがあります。
これらを安定的にできるということですのでまずは技の習得が必要になります。
「逆上がりができなくていいのか?」
という質問があるかもしれませんが、逆上がりは中学年までの課題として捉えていただければと思います。
高学年は「それらを繰り返したり組み合わせたりしている」という内容になっているので、上がり技である逆上がりや下り技である前回り下りなどを支持系と組み合わせることも重要です。
③ 跳び箱運動
・跳び箱運動では、切り返し系や回転系の基本的な技を安定して行ったり、その発展技を行ったりしている。
跳び箱運動で大切な技能は「助走」「踏み切り」「着手」「着地」をしっかりと身につけることです。
これらを身につけていなければどんなに難しい技ができようとも高い評価になることはありません。
もしも難しい技だけを評価するのであれば、それができない子どもたちの評価が低くなってしまいます。
「助走」「踏み切り」「着手」「着地」ができる子どもの評価をしてあげましょう。
切り返し系は、開脚跳びや閉脚跳びで、回転系は前方転回などです。
繰り返しますが、開脚跳びでも「助走」「踏み切り」「着手」「着地」ができていない子は、技能としてはC評価となります。
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・自己の能力に適した課題の解決の仕方や技の組み合わせ方を工夫しているとともに、自己や仲間の考えたことを他者に伝えている。
器械運動の知識・技能では「マット運動」「鉄棒運動」で「それらを繰り返したり組み合わせたり」ということを評価規準として考えています。
マット運動では「連続技」として授業を進めることが多いので、その組み合わせ方を評価することが思考・判断・表現では大切です。
技の一つができるのではなく、いろいろな技を組み合わせて、なおかつそれをスムーズに展開できることが大切です。
上手に組み合わせているかどうかをみて評価をしましょう。
鉄棒運動でも同じです。
「上がり技→支持技→下り技」という組み合せを授業として取り入れます。
その組み合わせがどうなのか、組み合わせを成功させるためにどのような練習をしているのかということが評価の対象となります。
跳び箱運動の思考・判断・表現の評価を取るためには、場の選び方がメインになると思います。
もちろん他の種目でも同様なことが言えますが、一つの技をできるようにするためには複数の場が必要となります。
自分の課題を見つけ、課題を解決するための場を選ぶことができるということが大切なことなのです。
また、現在設置されている場が自己の課題解決に繋がらないから、自らで変えるというのはまさしく思考していることになります。
イメージできないものは変えることができないので、普段からどういった場を作ると良いのかということを考えさせておくことが重要です。
だから「やりたくない」と思ってしまう子が出てきてしまいます。
それを場の設定や授業展開でカバーし、やりたくない子を前に進ませるという方法が良いのです。
なかなか取り組もうとしない子に対しては評価を下げざるを得ないし、積極的に技に取り組もうとしている子は評価を上げることになります。
2 まとめ
今回は体育授業での評価の仕方について考えてみました。
【高学年 器械運動の評価規準例】
次の運動の行い方を理解しているとともに、その技を身につけている。
① マット運動
・マット運動では、回転系や巧技系の基本的な技を安定して行ったり、その発展技を行ったり、それらを繰り返したり組み合わせたりしている。
② 鉄棒運動
・鉄棒運動では、支持系の基本的な技を安定して行ったり、その発展技を行ったり、それらを繰り返したり組み合わせたりしている。
③ 跳び箱運動
・跳び箱運動では、切り返し系や回転系の基本的な技を安定して行ったり、その発展技を行ったりしている。
以上が器械運動の評価規準についての解説でした。
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