「コロナ渦の中でどうやって体育の授業をやっていこう」
と考えてしまいますよね。
今回はコロナ渦でも話し合える、そして密になり過ぎない低学年の走の運動遊び「リレー」について解説したいと思います。
最後まで読んでいただくと、子どもたちが楽しみながらできる方法と、効果的な話し合いについて解説しているので、先生にしてみると技能も思考も取れると思います。
1 宝とりリレー・宝はこびリレー
宝とりリレーと宝はこびリレーの良さは次の3点です。
② 作戦次第でどのチームも1位になれる。
③ 誰もが楽しくリレーに参加できる。
これらを詳しく解説していきたいと思います。
準備は、説明用ホワイトボード、フラフープ(チーム数×3)、玉入れの玉(児童数)
2 実は仕掛けがたくさんある
・チームのメンバーの数だけフラフープに宝(玉入れの玉)を入れておく。
・1人1つ、宝を取りに行く。
・速く全部の宝を取ったチームの勝ち。
スタートラインから近い方のフラフープは、スタートラインから12m程度、遠い方は15m程度が良いかと思います。
もちろん実態に合わせて遠くにしたり近くにしたりしても大丈夫です。
① 仕掛けその1「作戦タイムを設ける」
近くのフラフープと遠くのフラフープで玉の数を変えていきたいが、慣れるために1回目はそれぞれ同一でも良いかと思います。
1分間の作戦タイムを取ります。
低学年に話し合いをさせると次のようなことが起こります。
・列を崩さないで話し合いをする
・全く話し合わない
大人の間隔だと、円陣のように丸くなって話し合いをしそうですが、実はこれも最初から身に付いているものではないのです。
それを温かく見守ることがまずは大切だと思います。
1回戦を終えて2回戦に入る前にフラフープの中に入れる玉の数を変えてみましょう。
例えば6人チームであれば近くが2個、遠くが4個。
条件が変わると1回目よりもグループでまとまって話をしようとし始めます。
こうやって話し合いの形やスキルを身に付けていくのです。
② 仕掛けその2「運動能力差を見立ちにくくする」
宝とりリレーも、次に解説する宝はこびリレーも子ども同士の走力の差が目立ちにくくなっています。
なぜなら「追い越した」「追い越された」が全くわからないからです。
速い子はむしろ遠くにいくので遅い子よりも見た目では遅く走っているように見えてしまうかもしれません。
そういった意味で作戦が物をいいますので、運動が得意でない子にも優しい仕掛けとなっています。
・チームに3つのフラフープ「近く」「真ん中」「遠く」を用意する。
・どこでもいいので置いてくる。
・「近く1点」「真ん中2点」「遠く3点」という得点制
③ 仕掛けその3「チームで応援&アドバイス」
フラフープが3つに増えたこと、得点制になったことで、子どもたちの意欲はさらに高まります。
実は宝はこびリレーのルールには続きがあります。
・1秒でもオーバーした場合には0点になってしまう。
このルールによって子どもたちは一気に緊張し始めます。
高得点を狙いたいけれど、0点になるのは怖い。
ここで話し合いがより活発になったり、応援やアドバイスが生まれてきます。
メンバーの意向を酌みながら自分の走力に合ったコースを考えるはずです。
3 留意点
宝はこびリレーの制限時間はおよそ「8秒×チームの人数」が良いでしょう。
この8秒というのは低学年の30m走でおよそ8秒かかるというところからです。
宝とりリレーも宝はこびリレーお往復してくるし、チーム内に走力に違いがあるのでそのような時間を提案しました。
児童の実態に応じて秒数は柔軟に変えてみるのが良いと思います。
このリレーは作戦次第でどのチームも1位になることができます。
個々の走力を考えてコースを考えることで、チーム内の関わりが増えて仲間づくりに繋がります。
子どもは「アドバイス」もわかりません。
誰かがメンバーにアドバイスをしていたらそれを全体で取り上げて
「○○さんがこんなことを言っていたよ」
と伝えてあげることでアドバイスを覚えます。
4 まとめ
今回はコロナ渦でもできる低学年走の運動遊び「リレー遊び」について解説しました。
具体的には「宝とりリレー」と「宝はこびリレー」です。
2つのリレーの良さは
② 作戦次第でどのチームも1位になれる。
③ 誰もが楽しくリレーに参加できる。
というところにあります。
・1人1つ、宝を取りに行く。
・速く全部の宝を取ったチームの勝ち。
・どこでもいいので置いてくる。
・「近く1点」「真ん中2点」「遠く3点」という得点制
・宝はこびリレーは制限時間内に全員がゴールしなくてはいけない。
・1秒でもオーバーした場合には0点になってしまう。
これらの授業には実は細かい仕掛けがしてあります。
仕掛けその1 「作戦タイムを設ける」
このリレーは作戦がものを言います。
だから作戦次第でどのチームも1位になれます。
作戦タイムを上手に活用しましょう。
仕掛けその2「運動能力差を見立ちにくくする」
「追い越した」「追い越された」が見えにくいので、運動が得意不得意に関わらず楽しむことができます。
仕掛けその3「チームで応援&アドバイス」
勝つためには文句ではなくアドバイスが必要になります。
このアドバイスを作戦の中に上手に組み込むことを意識させましょう。
どんな言葉がアドバイスなのか、それを全体で取り上げてあげると子どもたちが「アドバイスってこういうことか」ということを学びます。
以上が低学年のリレーです。
授業は楽しみながらいつの間にか知識や技能が身に付いているのが一番です。
いろいろな仕掛けを盛り込んで、子どもたちに
「いつの間にか話し合いができるようになっていた」
「いつの間にか考えて走れるようになっていた」
「いつの間にかアドバイスができるようになっていた」
「いつの間にか協力できるようになっていた」
という「いつの間にか」を経験させてあげましょう。
ただ、大人になるとボールを運ぶということは激減してしまいます。
でも、ガラパゴス諸島で他の動物から攻撃されているゾウガメを保護することはよくあります。
そんなときに宝はこびリレーを身に付けておくと運ぶときに役に立つと思いますので、子どものうちに「いつの間にか」を身に付けておくと、「いつの間にか」ゾウガメを運べると思います。
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