【スポーツ心理学】練習効果が上がる練習法!ブロック練習 vs ランダム練習

スポーツ心理学

運動を練習するときにどのような練習を組んでいるでしょうか?
一つの動きを徹底的に実施する「ブロック練習」でしょうか?
それともいろいろな動きを取り入れる「ランダム練習」でしょうか?
練習を組むときの有効的な方法、それは「ランダム練習」です。
それについてこれから詳しくお話したいと思います。


1 スキーマ理論からの考え方

スキーマ理論については

で詳しくお話していますのでご覧ください。

練習をするとき、例えばバスケットボールのシュート練習であれば、フリースローのシュートのように同じところから狙って練習をしていませんか?
ですが、よく考えるとバスケットボールの試合でシュートを放つとき、刻一刻とプレーが進んでいく中で1試合の中で同じシュートを打つということはほぼありえません。
シュートを打つ場所、ゴールまでの距離、目の前にいる相手と数、自分にボールが回ってくる前の動きやシチュエーション。
似たような場面に出会うことはあっても、これらが全て一致して全く同じだったということは試合中にほぼありえません。
そのためスキーマ理論という考え方が有効になります。
いろいろな場面や経験を積むからこそ活きてくるスキルがあるというわけです。
多様な練習を積んでいることによって、「この場面ではシュートに行こう」という考え、「この場面ではパスをしよう」という考え、など多様な攻撃パターンが生まれてきます。
一つの練習を繰り返し行う練習をしていても、多様な動きには活かせないということです。

2 ブロック練習とランダム練習

先にランダム練習の方が効果が高いというお話をしましたが、それらはいったいどのような練習方法のことなのでしょうか。
それぞれを詳しく説明します。
ブロック練習とは、複数の動きを連続してひとまとめにした練習のかたちであると考えられています。
それに対してランダム練習は一回一回、異なった動きをする練習と考えられています。
つまり
ブロック練習は
AAAAABBBBBCCCCC
ランダム練習は(多様性練習)
CABACABCBACBACB
と区別されます。
実施回数に違いはありませんが、実施方法が違うことはわかると思います。
これに加えて、多様性練習にはランダム練習の他に
シリアル練習
ABCABCABCABCABC
というのもあります。
これら3つの練習にどのような違いがあるのかを具体的にお話します。


3 ブロック練習・ランダム練習・シリアル練習

バスケットボールのシュート練習で
① フリースローのような静止したシュート
② 動きながらパスをもらってシュートを打つジャンプシュート
③ 動きながらパスをもらってシュートを打つスリーポイントシュート
の3つの練習を3日間行うとします。
ブロック練習は1日目はひたすら①練習、2日目はひたすら②練習、3日目はひたすら③練習を実施。
シリアル練習は1日目に①②③の順番で繰り返し練習、2日目、3日目も同様。
ランダム練習は1日目から3日目まで①②③をランダムに実施
もちろん実施回数は同じとします。
そうするとどのような結果が出ると思いますか?
実は即効性のある練習はブロック練習です。
あれ?さっきはランダム練習と言っていなかった?という疑問をお持ちかもしれません。
それについて詳しく説明します。

4 ランダム練習の効果

ランダム練習の効果の前に3つの練習法の順位をお伝えします。
練習してすぐは
①ブロック練習
②シリアル練習
③ランダム練習
という結果になります。
日が経つにつれて
①ランダム練習
②シリアル練習
③ブロック練習
という結果になります。
そうです。
練習してその瞬間のパフォーマンスを上げたいのであれば、ブロック練習が効果的というわけです。
しかし、日が経ってその効果を見てみると、スキルが保持されているのはランダム練習が圧勝なのです。
しかも、ランダム練習は転移といって別のパフォーマンスにも良い影響を及ぼす効果が顕著に見られました。
逆にブロック練習では転移の効果は期待できませんでした。
つまり、明日明後日に試合がある、そしてその動きだけを特に身に付けたいという場合はブロック練習は効果的です。
でも、即効性はないけれど長い目で見て練習効果を上げたい、運動スキルを身に付けたいという場合にはランダム練習が一番有効ということです。

5 まとめ

運動の技能を身に付けるための練習法として3つの方法があります。
①ブロック練習
②シリアル練習
③ランダム練習
その中で、即効性の高い練習方法はブロック練習。
すぐに試合があるのでその効果を望みたいという場合にはブロック練習が有効。
後々のスキルの保持、スキルの転移にはランダム練習の圧勝。
長い目で見てスキルを身につけさせたいのだったらランダム練習が良い。
指導者の方はこの練習方法を使い分けて練習に取り組むことをおすすめします。


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