子どもたちの体力低下が叫ばれています。
その中で顕著に下がっているものの一つとして投能力の低下です。
昔の子どもは男子を中心にキャッチボールや野球をして遊びました。
最近ではそういった姿を見ることは少なくなりました。
野球をやっている姿と言えばスポーツ少年団等です。
また、川原に出かけて行って石を投げるということもあまりありませんし、川原そのものに出かけないのでしょうか。
つまり、投能力の低下は投げる運動経験の減少が大きな一つの要因になっています。
今回は低学年に運動経験として楽しみながら身につける投の運動遊びについて考えていきたいと思います。
1 身体活動量の保障
低学年はとにかく体をいっぱい動かしたいという欲求をもっています。
体育授業で先生が集合させても、落ち着かない子どもはいます。
それは「早く運動したい!」という子どもからのメッセージです。
そんな彼らにとって、順番を待つ時間が多かったり、少し動いたらおしまいだったりする授業は楽しいものではありません。
可能な限り身体活動量を保障して、子どもの運動欲求に応えることが大切です。
つまり、体育というのは投の運動遊びはもちろんですが、それぞれの単元で身体活動量を保障することが、教師には強く求められていることなのです。
よく「作戦タイムも活動時間に含む」と聞きます。
それもごもっともな話です。
作戦タイムによって身に付くことはたくさんあるからです。
でも、結局のところ体育という授業で技能が身に付くのは身体活動量だということは忘れてはいけません。
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2 投の運動遊びの面白さ
投動作を含む運動には、低学年であれば「ボールゲーム」が位置付いていて、そこでは簡単なボール操作と攻めや守りの動きによって優しいゲームをすることが小学校学習指導要領に示されています。
小学校学習指導要領解説 体育編(平成29年7月) 平成29年告示 [ 文部科学省 ] 価格:343円 |
ボールゲームは攻防により、得点を競い合うことが面白い運動ですが、投の運動遊びはボールなどの対象物をどこまで遠くに投げられるかが面白い運動です。
面白さの異なる運動ですから、それぞれの運動との違いを明確にしたり、関連を計ったりする必要があります。
投の運動遊びの面白さを味わわせるために、ひたすら記録に挑戦させればよいはずはありません。
それでは子どもは飽きてしまいます。
投の運動遊びの面白さを味わわせることをねらいとしつつ、ボールゲームの内容と関連させ、さらに伝承遊びを活用する単元学習の計画が必要です。
3 伝承遊びの活用
昔の子どもは、帰宅後に地域の友達と遊びましたが、最近の子どもはそういった経験は少ないようです。
その遊びの中には、コマ回しやメンコ、紙鉄砲など、腕を振ったり、手首のスナップをきかせたりする伝承遊びが含まれていました。
そういったものを紹介し、腕を強く振る運動経験をするとともに、文化の伝承を進めるとよいでしょう。
4 ボールゲームとの関連
ボールゲームの内容と組み合わせて、投げる楽しさを味わわせたいものです。
単元計画には、新聞ボール合戦(下記参照)を行い、新聞紙を丸めたボールを相手陣地に投げ込み、相手コートに多く投げ入れたチームの勝ちとなります。
また、攻防はなく当てた的の得点を競い合う的当てもあります。
5 投の運動遊び
伝承遊びやボールゲームの要素を取り入れつつ、どこまで遠くに投げられかに挑戦させる場を毎時間位置づけると良いでしょう。
その中では「投げ方」も学ばせます。
正しいフォームで投げる基礎を作ることもおもしろさを味わうためには大切なことです。
6 低学年 投の運動遊びの具体例
① 新聞ボール
新聞紙1枚を丸めたものを布ガムテープで補強します。
新聞を堅く丸め過ぎず、当たっても痛くないようにしましょう。
様々な投の運動遊びに用いることが可能です。
② けんけんトン
軸足からステップ脚へ体重を移動させ、思い切り投げる経験をさせるための運動です。
「けん、けん、トン」とリズムよく声を出しながら「けん、けん」では軸足で軽くジャンプし「トン」でステップ脚へ体重を乗せながら投げます。
③ 新聞ボール合戦(おすすめ)
新聞ボールを投げ合う遊びです。
8~10人程度のチームに分け、2チームで対戦します。
ラインを境に分かれ、教師の「始め」の合図で新聞ボールを投げ合います。
自コートに入ってきたボールは拾って相手コートに投げ返します。
これを繰り返し、教師の「止め」の合図で投げるのを止めます。
自コートの新聞ボール数を数え、少なかったチームの勝ちです。
どうやったら勝てるか、投げ方やメンバーのポジションを話し合うと楽しいです。
④ 的当て遊び
体育館やギャラリーから的をぶら下げたり、壁に貼ったりします。
的には得点が付いていて、制限時間内に多くの的にボールを当て、何点獲得できるかを競います。
的は床から2~3mと少し高い位置に設定すると子どもの肘が上がった投動作になります。
また、投げるラインを的から離せば加点するルールにすると、遠くの的に当てようと上半身のひねりも引き出されます。
的をアニメのキャラクターにしたり、鈴を付けて音を鳴らしたりするようにしても楽しいでしょう。
⑤ どこまで飛ぶかな
どこまでボールが飛ぶかに挑戦する遊びです。
何m飛ぶかに挑戦するのではなく、何点の場所まで投げることができたかを競いましょう。
たくさん投げられるように、投げる場所を多く設定すると良いです。
腕を思い切り振るために、また安全を考慮してはじめは新聞ボールを用い、慣れてきたらゴムのボールを使いましょう。
上手に投げている子どもの姿に気づかせ、投げ方を工夫できる学び合いの場を設定してみてください。
7 まとめ
今回は低学年に運動経験として楽しみながら身につける投の運動遊びについて考えてみました。
低学年はとにかく体をいっぱい動かしたいという欲求をもっています。
体育授業で先生が集合させても、落ち着かない子どもはいます。
それは「早く運動したい!」という子どもからのメッセージです。
そんな彼らにとって、順番を待つ時間が多かったり、少し動いたらおしまいだったりする授業は楽しいものではありません。
可能な限り身体活動量を保障して、子どもの運動欲求に応えることが大切です。
つまり、体育というのは投の運動遊びはもちろんですが、それぞれの単元で身体活動量を保障することが、教師には強く求められていることなのです。
低学年 投の運動遊びの具体例
① 新聞ボール
② けんけんトン
③ 新聞ボール合戦(おすすめ)
④ 的当て遊び
⑤ どこまで飛ぶかな
上記の遊びを組み合わせて、体育館のステージ側では的当て遊び、体育館の後ろ側ではどこまで飛ぶかなをやってみて、移動するというのもおもしろいと思います。
低学年の子どもたちはとにかく遊びのような体育をして自然に技能が身についていたというのが理想的です。
そのような場や単元計画を考えてみてください。
以上が低学年に運動経験として楽しみながら身につける投の運動遊びについてでした。
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