これから暑い季節がやってきます。
そこで心配になるのが熱中症です。
暑いからといって運動をしない季節とも言い難いです。
そんな季節でも適正に気持ちよく運動をするためには水分補給が重要となります。
今回は暑い季節を乗り切るために運動をするときの水分補給について考えていきたいと思います。
1 今と昔の水分補給
昔は、運動中に水を飲まないことを鉄則としていました。
また、それが美学なんて考えもありました。
しかし、運動中に水分を摂らないことの良さは生理学的に何の根拠もありません。
もしも根拠を探すとすれば
① 水を飲むことによって胃腸で余分な血液が使われること
② 満腹になった運動がしにくくなること
③ 喉の渇きに耐える精神力を養うこと
④ だらだらと何度も水を飲みに行くのはスポーツマンに反すること
こういった理由でしょうか。
何度も言いますが、運動時に水分を摂らないことの良さは生理学的になんの根拠もありません。
2 熱中症はどうになるのか
生理学的には、運動すると気温、湿度、それに運動の強度に応じて発汗が生じます。
発汗がはじまると、筋細胞のまわりにある体液の水分が汗となって出てきます。
そのために体液の塩分が濃縮されます。
次に浸透圧現象によって、細胞内の水分が体液に移り、筋細胞内の塩分が濃縮されてしまいます。
さらに発汗が続くと血液の水分が出て筋細胞の塩分を薄め、血液までが濃縮されてしまいます。
血液が濃縮されると血液は流れにくくなり、心臓に負担をかけることになります。
そこで脳では発汗を止める指令を出して、それ以上血液が濃縮されるのを防ごうとします。
発汗作用が鈍くなると体温の発散ができなくなり、熱中症などの障害が生じることになります。
難しいですが、要は運動をすることによって汗をかいて、体温調節をしています。
暑い時期や運動強度によって発汗量が多くなって、これ以上体内から水分を出さないようにするために脳がストップをかけます。
そうすることで体温調節ができなくなって熱中症になってしまうということです。
発汗量の関係なので、暑い時期の方が熱中症になりやすいのですが、決して夏だけの問題ではないということです。
3 何を補給すればいい?
発汗が進んでいくと喉が渇くのは、熱中症のような危険な状態にさせないための信号です。
したがって、運動中は発汗で失った水分と少量の塩分を補給することは絶対必要なことです。
だから、1で書いたように運動で水分を摂らないということは生理学的には何の根拠もないし、身体を危険にさらすことになります。
また、暑い時には30分間以上にわたって運動をするとき、前もって水分を摂っておくことは、心拍数と体温の上昇を抑え作業能力を高めることができます。
50分以上の運動を続けるときには、前もって以下のような飲料水を飲んでおくほうが競技成績を高めることになります。
① 水100mlに2.5g以下の糖分の入ったもの。
② 8~13度の冷たいもの。
③ 運動する30分前に100~200mlの水か、①の飲み物。
④ 運動後は失われた塩分とナトリウムとカリウムを補給
スポーツ飲料を飲むことで水分だけでなくナトリウムを補給できますが、たまに運動もしていないのに水のかわりに飲むという子がいますが、それは肥満の原因となりますのでご注意ください。
4 水分補給量
運動時に水分補給をするときに
① 水を飲まない
② 自由に水を飲む
③ 発汗によって失われた塩分と水分を強制的に飲ませる
を実施した場合、③が最も直腸温が適正に保たれていたそうです。
つまり、運動で失った水分は必ず補給し、塩分やナトリウム、カリウムも合わせて補給することが望ましいということです。
5 まとめ
運動中に水分を摂るということはとても重要なことです。
昔は運動するときに水分を摂らないということが鉄則ではありましたが、生理学的には何の根拠もありません。
むしろ身体を危険にさらす行動です。
人は運動をすることによって汗をかいて、体温調節をしています。
暑い時期や運動強度によって発汗量が多くなって、これ以上体内から水分を出さないようにするために脳がストップをかけます。
そうすることで体温調節ができなくなって熱中症になってしまいます。
運動で失った水分は必ず補給し、塩分やナトリウム、カリウムも合わせて補給することが望ましいということです。
長く運動を行う場合には、前もって水分を補給し、運動中の心拍数と体温の上昇を防ぐようにすることが大切です。
暑くなる時期です。
適切な水分補給をして楽しく運動をしたいですね。
コメント