「型」と聞くと、なんだか難しそうな動きを想像すると思います。
まだ記憶に残る東京オリンピックで行われた空手の型なんて、そうそう真似できるものではなさそうです。
ですが、今回ご紹介する型というのは小学校の体育の授業でぜひ取り入れてほしいものなのです。
ちょっとした意識の違いで全然違ってくるのでやってみてください。
また、繰り返しやってみることで型を習得し、いろいろな場面に活用できるようになりますので試してみてください。
1 腰を立てる
腰を立てるってなんだか聞いたことはあるけど、説明してと言われればよくわからないです。
まず、幼児を含め児童に習得させたい型が「腰を立てる」ということなのです。
子どもたちは小さいうちからある「立ち方」を繰り返してきました。
それは「気をつけ」です。
「気をつけ」は体育の授業だけでなく、学校生活などあらゆる場面で用いられている「キングオブ立ち方」です。
しかし「気をつけ」は健全な日常生活やスポーツ技術や動作を身につけるための基礎、つまり型としては不都合な姿勢なのです。
日本人は骨盤が後傾しやすいと言われています。
自然に立ったときに上体が後ろに反り気味になっています。
骨盤が後傾しているということは、体が前に進みにくいことを意味しています。
逆に後方に移動させやすいのです。
日本の伝統的身体運動は原則として体を後方に引き込むことによって成り立っています。
大工さんが使用するカンナやノコギリは後方に移動させながら行います。
海外では刃の向きが逆で前に押し出すようになっているのです。
よって、日本人がスポーツに挑戦するときには意図的に骨盤を前傾させることが大切です。
この骨盤を前傾させることを「腰を立てる」と言います。
骨盤を前傾させることが速く走るための条件であるとも言われるようになっています。
「でも、いまいち腰を立てるってわからないなぁ」
と思うかもしれません。
そうしたら「胸を張る」ことです。
椅子に座ったままでも立っていても大丈夫です。
胸を少し前に突き出すようにすると、腰が立っています。
逆に胸を閉じると腰が後傾します。
前傾→後傾を繰り返すと容易に腰が立つようになります。
2 つま先と膝を外に向ける
次に重視したい型は「つま先と膝を外に向ける」ことです。
日本人はどちらかと言うとつま先は外に開かず、膝を内側に絞ることがいいと教えられてきていませんか?
日本では長い間、あらゆるスポーツで左右の膝を内側に絞るようにすることが大切であるとされてきました。
しかし、本来は足先が外を向く状態がいいのです。
簡単な実験をしてみます。
つま先を60度ほど開いてお互いに押しあいます。
次に一方がつま先を閉じて内またにしてください。
もう一方はつま先を90度程度開きます。
先ほどと同程度の力で押しあいます。
次につま先を開く方と閉じる方を入れ替えて行ってみましょう。
つま先を開いている方が容易に相手を押せると思います。
このように体を前に押しだすときにはつま先をひらいた方が力がでるのです。
さて、つま先を外に向けるというのはどのようなことでしょうか。
大切なのは膝がしらの向きをつま先の向きと一致させることです。
つまり、膝がしらの向きを外に向けることが大切です。
膝がしらの向きは股関節の状態をあらわしています。
膝がしらが外に向いているということは大腿骨が外に回っていることを意味しています。
その代表が「相撲」です。
相撲の動作や鍛錬方法は股関節外旋が型であることを見事にあらしています。
3 スポーツから見る「腰を立てる」と「膝がしら外旋回」
「型が大切なのはわかったけど、結局体育の場面で使うの?」
という疑問の声もあると思います。
そこで一つご紹介させていただきます。
まず体育で何よりも多い「かけっこ(走る)」という動きです。
走る動きは、短距離走に限らず、ドッジボールでもバスケットボールでも、サッカーでも、野球でも・・・さまざまな種目の中にあります。
体育でもスポーツでも走る動きというのは基本です。
走るときの姿勢を思い出してみましょう。
「腰を立てる」ことによって前に進みやすい姿勢になります。
腰を立てるための操作は何だったか覚えていますか?
「胸を張る」です。
次に走る指導で確認したいことにつま先の向きがあります。
先にも書いたように「外旋着地」です。
走っているときのつま先の着地は若干外向きが良いということなのです。
オリンピックに出場するようなトップアスリートも同様に走っています。
子どもたちの「走り」の指導をするときには、外旋着地の子どものつま先を、まっすぐ進行方向へ向けるような指導はしない方がよいのです。
では逆につま先がまっすぐ前を向いている子どもにはどのように指導したら良いのでしょうか?
ここで注意すべきは、つま先や膝がしらを外に向けるように指示をしてはいけません。
このように指導すると、膝がしらの向きはそのままで足先だけ外を向く子どもがほとんどです。
そうすると怪我をする要因になります。
普段の中で、立った状態でつま先を90度~120度開いて、軽くスクワットを繰り返すことでだんだんと走るときにもつま先と膝がしらが外を向くようになります。
4 まとめ
今回は小学生に教えておきたい体を動かすための「型」について考えてみました。
日本ではいにしえから教えられてきた型が実はスポーツには適していなかったのです。
① 腰を立てる(胸を張る)
② つま先と膝がしらは外側を向かせる
これらをすることによって「走る」という動きを一つとっても有効であることがわかります。
ちょっとずつ取り入れてみて行ってみてはどうでしょうか?
劇的に変わるかもしれません。
以上が小学生に教えておきたい「型」についてでした。
現在、空前の大ブームの鬼滅の刃でも「型」という言葉は使われています。
大人になって「型」を間違った捉えをして、間違って使い方をしてしまったのが、今をときめく鬼束ちひろさんです。
名前にまで鬼が付くほど優秀な鬼殺隊の一員です。
蹴りの呼吸の使い手で、壱の型「暴力」で、無限救急車を倒してしまいました。
「きぶつじはそん」を最終的には狙っていたのが印象的です。
ただ、小学生に教えたい「型」と鬼束さんの「型」はまったくの別物なので、真似せずにぜひ本当の「型」を身につけてください。
壱の型「暴力」を使った場合、おまわりさんにもれなく捕まってしまいます。
コメント